【憧れを現実に!】ビルトインガレージのメリットと注意事項

家を建てる

車をすでにお持ちで注文住宅を建てる場合、駐車スペースは3つの選択肢があります。

  • 敷地内にカーポートまたは車庫を建てる
  • 住宅の1階にビルトインガレージをつくる
  • 近くに駐車スペースを借りる

建設予定地が狭くカーポートを建てられそうにないという方、車のメンテナンスを自分でやりたい方、時間が許す限り車のことを考えたい車愛好者もいらっしゃるでしょう。そんなご家族の選択肢としてビルトインガレージがあります。

この記事ではビルトインガレージ採用の前に知っておくべきメリット・デメリットと、設計段階から気をつけたい項目についてご紹介します。

ビルトインガレージを有効に使うための情報として、ぜひお役立てください。

ビルトインガレージは「駐車部屋」

はじめにビルトインガレージと、カーポートや車庫との違いについてご説明します。

車庫を建物の一部に組み込んだタイプのガレージ

ビルトインガレージとは、住宅の1階部分に組み込まれた駐車スペースをさします。シャッターの有無は用途や好みによって選択します。

シャッターをつけて完全にクローズドにすると、まるで「駐車部屋」とも呼べる空間が出現します。駐車スペースとしてだけでなく、工具やパーツを収納したり、趣味のスペースとしての役割を持たせられます。カーポートや車庫を家の外部につくるのとは違う生活スタイルを実現できるのが魅力です。

インナーガレージともいう

ビルトインガレージとインナーガレージに違いはありませんが、ビルトインガレージという名称の方が一般的に認知されているかもしれません。ビルトインガレージは、駐車スペースとしての機能だけではなく、はじめから他の使い方も含めて家に組み込まれた空間を連想させる言葉です。

この記事では「ビルトインガレージ」で統一し、ご紹介していきます。

1階部分や路面によっては地下のように設けられる

ビルトインガレージは住宅の1階に設けられるスペースですが、坂道の途中に建つ住宅では、玄関よりも低い半地下の空間に駐車スペースを設置する場合もあります。

採光や風通しが悪い、カビが発生しやすいなど居住スペースとしては不利と考えられる条件でも、ビルトインガレージとして設計すれば解決できる場合があるからです。建ぺい率・容積率など法律の制約があるものの、上手に条件をクリアすることで土地の有効活用ができるでしょう。

ビルトインガレージは狭い日本ならではの土地活用術

ここでは、ビルトインガレージの人気が高まりつつある理由や、活用方法についてご紹介します。

土地が比較的狭い日本独特の事情による

ビルトインガレージの人気の理由として、都市部については家を建てる土地の狭さが大きく関わっています。

都市部で土地を購入していて、すでに車を所有している場合、

例1)カーポートを建てる面積がないので、屋根のない土間コンの駐車スペースにするか
例2)狭小住宅で駐車スペースを取れず、外部に月額駐車場を借りるべきか

などと比較し検討した結果、ビルトインガレージが選択されています。

土地が広いアメリカでは別棟に設けることが多い

日本とは違い、アメリカでは住宅の別棟に車庫(ガレージ)を建築するのが一般的です。都市部以外では、新築も中古住宅も広い敷地に住宅や庭があり、駐車スペースも広くつくられています。

アメリカの車庫は住宅と同じように断熱施工されていて、車を自分で修理・メンテナンスする場所としてだけでなく、日曜大工の工具や庭のメンテナンス用機器の収納の他、趣味の空間として日常的に使えるように作られています。

「ガレージセール」「ガレージバンド」という言葉が生まれるほど、車庫の機能を超えた場所として捉えられているからです。

屋内で車いじりができるので車好きは嬉しい

日本の都市部で狭い土地に注文住宅を建てる場合、ビルトインガレージを採用すれば、愛車を日常的に眺めたりメンテナンスしたりできる空間をつくることが可能です。車がいつでもアクセス可能な室内にあり、天気や時間に関係なく愛車との生活を送ることができるからです。

車庫スペースに接する部屋の壁をガラスのドアや窓を選択すれば、ショールームのように室内からでも愛車を眺められます。

メンテナンス用の専用工具なども同じ空間の中に置く場所を確保できれば、趣味と実益を兼ねることができます。

自転車の駐輪スペースやホームパーティーの場所としても使える

室内のように使える場所ですから、駐車スペースだけにするにはもったいないビルトインガレージ。日常的な使い方ができると、暮らしが豊かになるでしょう。プライベート空間としてホームパーティーを楽しんだり、小さな子供やペットの遊び場として活用もできます。

車の収納だけでなく自転車置き場としても機能するため、外で保管するよりもサビたり汚れたりせずにすむでしょう。自転車を趣味とする方にとっても、有効な収納スペースとなります。

「アウトリビング」として活用できる

ビルトインガレージをアウトリビング、つまり「第2のリビング」として利用してみてはいかがでしょうか。

駐車スペース以上の広さがあるビルトインガレージであれば、ソファを置いたりバーカウンターを設置するなど、普段使いのリビングとは違った、大人の空間を演出できます。シャッターを閉めてしまえば、趣味のものに囲まれた贅沢なスペースとして時間を気にせずにくつろげます。

中庭やテラス、ウッドデッキをつくる場所がない場合でも、アウトリビングが実現可能です。

ビルトインガレージのメリット

人気上昇中のビルトインガレージを備えた家にはメリットとデメリットがあります。

ここではビルトインガレージを設置するメリット5つをご紹介します。

土地が狭くてもガレージを設けられる

ビルトインガレージを選択する1番の理由は、土地が狭く駐車スペースが取れないことでしょう。

ビルトインガレージであれば、車1台分のみならず、間口や奥行きによっては1階部分を全て駐車スペースにすることで、2台分のスペースを確保できる場合もあります。

採光や通風に有利な2階リビングなどの間取りにしやすい

1階をビルトインガレージにして、2階に居住スペースの比重を多くとる選択も考えられます。

リビングを2階にすると日当たりや風通しがよくなり、大きな窓を設置しても1階に比べて隣家や道路からの視線が気にならないでしょう。2階は日当たりがよいので暖かく、冬でも暖房なしで過ごせる家もあります。逆に夏は暑くなりやすいので、窓からの日差しをさえぎる工夫が必要です。

生活動線で大きくメリットを感じるのは、洗濯物を干す場所が近くなることです。視界も開けて空を近くに感じる生活が送れます。

外出しやすい

ビルトインガレージは、天気を気にせず車での外出がしやすくなります。室内空間での乗り降りなので、雨に濡れずにすむからです。ガレージのドアを挟んですぐ居住スペースのため、買い物して大きな荷物を運ぶにもストレスが軽減できます。

特に小さい子供がいる方や介護中でひんぱんに車を使われる方にとっては、雨や雪が降っていても気にせずに車に乗車できることは、大変便利な要素です。

愛車の盗難や劣化防止に

ビルトインガレージはシャッターを閉めてしまえば完全に建物内の空間となり、防犯面でも安全です。車の盗難やいたずらに対しても安心できるガレージです。外部からの影響を受けにくいので、車が風雨にさらされることがなく、汚れやサビ、キズの防止にもなります。

趣味のスペースが得られる

愛車を持つ方にとっては、好きなときに車を眺めたり車いじりができる最高のスペースになるでしょう。他にも自転車愛好家には自転車のメンテナンス場所として、DIYが趣味の方には大きな材料や道具を使う場所として使えます。

住宅密集地や狭い土地の住宅だからと趣味の空間を諦めかけている方も、設計内容を見直してみてはいかがでしょうか。

ビルトインガレージのデメリット

ビルトインガレージ設置で後悔しないためにも、デメリットを知ることはとても重要です。ここではデメリット4つをご紹介します。

1階の居住スペースは制限される

ビルトインガレージを採用すると、1階の居住スペースの大部分を車庫部屋としなければなりません。車のドアの開け閉めをする余裕も必要なため、それほど大きな車を所有していなくても、ある程度幅のある間口をつくります。

ビルトインガレージの間口サイズを決定する基準には、敷地に接する道路の幅と、駐車テクニックも関係するでしょう。間口があまりにも狭い場合、慣れるまでは背面駐車に時間がかかるかもしれません。

ビルトインガレージのある家を選択するならば、2階にリビングや寝室を設置することをおすすめします。2階を生活の中心にすると、採光や風通し、見晴らしの良さなど多くのメリットを享受できるでしょう。

音とニオイは対策が必要

居住スペースの中にガレージを設けるため、音やニオイの対策が必須です。エンジン音だけでなく、シャッターを開閉する音は上の階にもかなり響くため、特に夜間の使用には気をくばりましょう。

対策方法としては、寝室をできるだけガレージから遠ざける、静音設計のシャッターを採用するなどがあります。

ニオイや換気の対策は、ガレージを趣味部屋やアウトリビングとして使用する予定であれば、排気ガスを強力に換気できるガレージ専用換気扇の設置を検討しましょう。また、排気ガスやニオイが室内に入らないよう、ガレージと接するドアは機密性の高いものをおすすめします。

耐震補強が必要

ビルトインガレージのある家の建築には1階の耐震補強が必要となり、一般的な住宅建築よりも費用がかかります。

ガレージの間口を広く取りたい場合、木造建築であれば柱や壁を増やすことで耐震性を高めた構造にする、鉄筋コンクリート造の家を選択するなどで解決できます。

木造住宅で間口の狭い家では、家を支えながら耐震性能をあげる「耐力壁」をバランスよく設置できない場合があります。建築方法を鉄骨造に変更するなど、ハウスメーカーや設計士に相談しましょう。

駐車スペースとしての利用だけを考えるのであれば、近隣の駐車場を借りたときのランニングコストと比較しながら、採用するかを検討しましょう。

老後の不安

2階に居住スペースを設置したり、3階建ての家を建築すると、毎日何度も階段の昇り降りをする日常を送ります。これから長い期間生活する家の間取りとして、足や腰の負担が心配になる方もいるでしょう。老後を考えエレベーターを設置することもできますが、まとまった費用と設置スペースが必要です。

ビルトインガレージを選択したことで後悔がないよう、ご家族とも将来を含めた生活スタイルについて、事前に話し合うことをおすすめします。

ビルトインガレージの間取りのポイント

ビルトインガレージを有効に使うためのポイントをご紹介します。

車からの導線を考慮する

車を降りてから玄関へ、そして居住スペースや自室へ向かう、効率のよい生活動線を考えましょう。

車から降りて、重い荷物を持ってキッチンへ向かうには、車の周辺にどのくらいの幅が必要か、ドアは開けやすいかなど、具体的なイメージをしながら検討するとよいでしょう。生活動線・家事動線を効率化することは、小さな子供がいたり、介護中のご家族の場合は1番重要なことです。

室内に階段を設置する場合は高さに配慮するなど、細かいところにも気を配る必要があります。

ガレージと寝室を離す

車の出入りによって発生しやすいのは、音の問題です。特に夜間はエンジン音だけでなく、シャッターの開閉音や換気扇の音が気になるかもしれません。朝早くに仕事に出る、深夜に仕事から帰るなどでガレージを使用すると、他のご家族にも迷惑をかけてしまうかもしれません。

対策としては寝室や個室の位置を、音が響きやすいガレージの近くや真上の場所を避け、できるだけガレージから遠い場所にすることです。シャッターも頑丈で静音設計のタイプを選ぶことで、開閉音が気にならなくなります。

将来の車選びを考慮する

間口のサイズによって、収納できる車種が決まってしまいます。現在所有する車のサイズに合わせて設計した場合、次に購入する車の種類に制限がかかる可能性があります。

夫婦だけならコンパクトな車1台で十分だった生活が、数年後には家族が増えてチャイルドシートを2人分乗せられる大型車が必要になるなど、車選びも生活によって変わってきます。生活スタイルの変化にも対応できるよう、設計段階から準備しましょう。

将来のライフスタイルも想定する

生活スタイルの変化によって車の台数が増える可能性もあります。夫婦でそれぞれ車通勤になったり、独立した子供夫婦のために来客用駐車スペースが欲しくなるかもしれません。

また介護のために車椅子と一緒に乗り降りをすることになったときは、玄関までの導線をどうするかなど、将来どんなスペースが必要になるかを事前にご家族と検討されるとよいでしょう。

予算に合わせて唯一無二のビルトインガレージを

この記事では、

  • ビルトインガレージは「駐車部屋」
  • ビルトインガレージは日本特有の土地活用術
  • ビルトインガレージのメリット・デメリット
  • ビルトインガレージの間取りのポイント

をお伝えしてきました。

「ビルトインガレージは本当に必要か」「ビルトインガレージをつくる目的はなにか」をご家族で明確にすることが大切です。そして生活動線、将来の生活スタイルを考慮して間取りを配置するとよいでしょう。

ビルトインガレージのある家は耐震強度に配慮した構法を必要とします。設計を担当するハウスメーカーや設計士に相談しながら、愛車や趣味を楽しむ豊かな暮らしを手に入れましょう。

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