布基礎とベタ基礎の特徴と仕上がりの違いを比較!適しているのはどの基礎工事?

お役立ち情報

建物の基礎は、住まいの耐震性に影響する大事なものです。基礎の種類はいくつかあり、土地の状態に合わせて決める必要があります。本記事では、新しく住宅を建てる方に向けて、基礎の特徴を説明していきます。

そもそも基礎とは?

住宅を建設中の土地で、地面にコンクリートが敷かれているのを見たことはないでしょうか?基礎とは、建物を建てるときの土台になる部分を指します。また、基礎工事は、基礎を施工することを総称した呼び名です。

住宅を建てる際は、地面の下に基礎を施工し、その上に建物を建てます。基礎は建物を支える土台であり、外部からの振動や湿気、害虫から建物を守るものです。基礎がしっかりと作られた住宅は、耐震性や耐久性が高くなります。

基礎に使われる鉄筋コンクリートは、網目状の鉄筋にコンクリートを流し込んで作られた建材です。基礎の種類によって建材の使用量が異なり、コストも変化します。建築に使われる基礎には種類があり、それぞれ特徴が異なります。それでは住宅に作られる基礎の種類を見ていきましょう。

日本の住まいは布基礎とベタ基礎が主流

建物を建てるときの土台には、布基礎・ベタ基礎・独立基礎の3種類があります。この中で、日本の一戸建てに使われているのは布基礎とベタ基礎です。3種類にはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、基礎の特徴と違いについて説明します。

布基礎

布基礎とは、柱の下と柱同士をつなぐ部分に基礎を設置する工法です。柱の下と柱の間以外の部分には、基礎が設置されていません。必要な建材の量は、ベタ基礎よりも少なく独立基礎よりも多いです。また、地面に打ち込む部分は逆T字の形をしています。

地面に打ち込む深さや基礎の厚みは、建築基準法で定められています。立ち上がり部分は、地面から30㎝以上の高さで厚みが12㎝以上必要です。地面に打ち込む根入れの深さは、24㎝以上で底版の厚みは15㎝以上です。

ベタ基礎

ベタ基礎は柱の下だけでなく、建物の面積全体に基礎を設置します。地面を覆うようにして鉄筋コンクリートを設置するため、湿気や害虫を最も防ぐといわれています。建物が沈んだり傾いたりしないように、外周は中央よりも厚い設計です。

建築基準法により、地面に打ち込む深さは原則12㎝以上とされています。また、底版の厚みは12㎝以上です。立ち上がり部分の高さや厚みは、布基礎と同じです。布基礎に比べて面積が広い分、深さや厚みは短くなっています。

独立基礎

柱の下にのみ基礎を設置する方法が、独立基礎です。基礎同士を地中梁と呼ばれる鉄筋コンクリートの梁で繋ぐことで、建物を支えています。3種類の中では最も建材の量が少なく、コストを抑えられるのが特徴です。

一般的な住まいには使われていませんが、ショッピングモールやビルなどに使用されています。とくに規模が大きい建物の場合は、コストを抑えて合理的に建てられる方法です。建材の量が少ないため耐久性が劣ると思われがちですが、地中梁を利用することで建物を安定させています。

布基礎のメリット・デメリット

新しく住まいを建てる際に、布基礎を選ぶメリット・デメリットを紹介します。コスト面や耐震性、耐久性の特徴を見ていきましょう。

メリット①コストが抑えやすい

メリットの1つは、コストが抑えやすいことです。柱や柱同士を繋ぐ部分にのみ基礎を作るため、建材の量がベタ基礎に比べて少なくなります。また、使用する建材の量が少ないと、建材費だけでなく配送費も減らせるでしょう。

メリット②鉄骨住宅や寒冷地の住宅と相性が良い

基礎を深くまで打ち込むため、骨組みが重い住宅も支えられます。例えば、柱や梁が鉄でできた住宅も、布基礎と相性が良いです。また、寒冷地で土地が凍りやすい地域の住宅も、布基礎に適しています。

デメリット①耐震性はベタ基礎より劣る

布基礎は、点で住宅を支える仕組みです。ベタ基礎のように広い面積で住宅を支える仕組みではないため、耐震性は劣るといわれています。

布基礎で高い耐震性の住まいを建てるためには、地盤の強い土地が必要です。鉄筋コンクリートを地面に打ち込むため、強い地盤の土地であれば頑丈な基礎に仕上がります。また、耐震性を重視する場合は、建物自体を耐震構造にするのもおすすめです。

デメリット②シロアリ被害に注意

柱や壁の下のみ基礎を設置するため、地面がむきだしの部分もあります。地面と床下の間に湿気を遮るものがないと、住宅が腐食しやすくなったり、シロアリ被害に遭いやすくなったりします。

シロアリは住宅の木材を食べるため、被害に遭うと柱などの骨組みに空洞ができることも。被害が大きくなると耐震性が低下し、地震などで倒壊する確率も高くなります。国土交通省補助事業の調査では、5,322棟の中で1,004棟がシロアリの被害に合っているという結果も出ています。

被害を防ぐためには、前もって対策しておくことがおすすめです。対策方法としては、防湿フィルムや防湿コンクリートを敷くやり方があります。その他にも、湿気を逃すために通気口を設置する方法があるでしょう。ただし、通気口を設置すると冷気が床下に入るため、冬場は室内が冷えやすい懸念点もあります。

ベタ基礎のメリット・デメリット

次に、ベタ基礎で住まいを建てるときのメリット・デメリットを紹介します。布基礎と比較して、特徴の違いを把握しておきましょう。

メリット①耐震性に優れる

住宅を支える面積が広いベタ基礎は、耐震性に優れるといわれています。木造住宅は重さが一点に集中せず、全体に分散するのが特徴です。そのため、面で支えるベタ基礎は木造の住まいに適しています。

また、建物を支える面積が広いため、不同沈下を防ぐ効果もあります。不同沈下とは、建物の一部が沈むことで建物全体が傾いてしまう現象です。

メリット②湿気やシロアリ被害を防げる

床下と地面の間にコンクリートがあるため、湿気が住宅に伝わらないメリットもあります。シロアリ被害や腐食を防いで、住宅の品質を維持できるでしょう。長く住む住宅は、耐震性だけでなく耐久性も重要です。

購入時に安く購入できても、耐久性が悪いと修繕費が高くなることも考えられます。メンテナンスや修繕を最小限に抑えられれば、長い目で見るとコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。

デメリット①コストが布基礎よりも割高

ベタ基礎は住宅の面積と同じ大きさの基礎を地中に作るため、鉄筋コンクリートなどの建材が多く必要です。建材にコストがかかる分、布基礎よりも割高になります。コストをできるだけ抑えたい場合は、布基礎の方が適しているでしょう。

デメリット②寒冷地には不向き

寒冷地は地面が凍りやすく、ベタ基礎には適しません。地面は凍結すると膨張し、住宅の基礎を押し上げます。基礎が動くと住宅にも影響を及ぼすため、寒冷地では基礎を設置する際の深さが定められています。

寒冷地でベタ基礎を設置すると、広い面積を深く掘らなければなりません。結果的に、コストも高くなってしまうでしょう。布基礎を選べば土を掘る面積が減り、残土処理の量も減ります。地中深くに設置できるため、寒冷地でも安全な住宅が建てられます。

布基礎とベタ基礎はどちらが適している?

住まいを建てる際の、基礎の種類について説明してきました。一戸建てに用いる基礎は、具体的にはどれが適しているのでしょうか?基礎はそれぞれ特徴が異なり、一概にどれが優れているとは決まっていません。ここでは、工期やコスト、耐震性の面を比較して紹介します。

工期

布基礎とベタ基礎で工期に大きな違いはありません。基礎を作る際は、まず地盤調査が必要です。その後に基礎の位置を決めて、土を掘ります。掘った場所に砕石を敷き、捨てコンクリートを打ちます。砕石とは、細かい石のことです。また、捨てコンクリートには基礎の位置を示す役割や、地面を水平にする効果があります。鉄筋を組み立てて型枠を作ったら、コンクリートを打って完成です。

コスト

以前はベタ基礎が普及していないことから、コストが高いといわれていました。しかし最近では、どちらの施工方法も一般的になり、施工費用に差が無くなってきています。かかる費用は建設会社によって異なるため、比較検討するとよいでしょう。

ただし、建材費のみを比較すると布基礎の方が安く仕上がる傾向です。これは、建材の使用量が少ないためです。

耐震性

先ほど布基礎は耐震性に劣ると述べましたが、必ずしも地震に弱いわけではありません。耐震性は基礎だけでなく、地盤や建物の強度にも左右されます。

しっかりとした設計で作られている住まいは、総合的に耐震性が高いといえます。反対に、ベタ基礎を使用していても設計が不十分な住まいは、耐震性が低い可能性もあるでしょう。

地域に適した基礎を選ぶ

どちらの基礎が適しているかは、地盤の強度・地域・予算によって異なります。一概にどの基礎が強いとは言い切れないため、ケースに応じて判断する必要があるでしょう。

また、建設会社によって得意な基礎の種類も変わってきます。基礎を選ぶ際は、プロと相談して決めるとよいでしょう。

地盤調査を踏まえて適切な基礎を選ぶこと

基礎は種類によって、住宅を支える面積や打ち込む深さが異なります。それぞれの特性があるため、どちらが優れているとは言い切れません。基礎を選ぶときは、地盤や地域の気候に合わせることが大切です。また、耐震性を重視する場合は、基礎だけでなく建物の強度も重要になります。地盤の状態に合わせて基礎を選び、長持ちする快適な住宅を建てましょう。

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