【断熱の基本】基礎断熱とは?床断熱との違いや施工方法

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断熱材は住まいを快適な室温に保つために、欠かせないものです。住まいの断熱には床断熱と基礎断熱があり、どちらを選ぶかで断熱性や気密性が異なります。これから住まいを建てる方は、工法の違いを把握しておくとよいでしょう。本記事では、断熱材の役割や床断熱と基礎断熱の違いを説明します。また、基礎断熱の施工方法についても触れるので、ぜひ参考にしてみてください。

基礎断熱は断熱性・気密性を高める工法

基礎断熱とは、基礎の立ち上がりと底部分に断熱材を施す工法です。基礎に断熱材を用いることで、床下を室内と一体化させるのが特徴です。基礎断熱は、住まいの断熱性を重視する北海道で生まれました。北海道の住まいは45%ほどが、基礎断熱を用いているともいわれています。基礎部分で冷気や熱気が侵入するのを防ぐため、床下に外気が入りません。そのため、室温を快適に保ちやすく、底冷えを防ぐ効果もあります。

そもそも断熱とは?断熱材にどんな役割があるのか?

住まいに欠かせない断熱材は、どのような役割を果たしているのでしょうか?夏は暑く冬は寒い日本の気候は、エアコンによる室温調整が必要不可欠です。しかし、住まいの断熱性が低いと、空調を動かしても室温を保てません。

そこで重視されるのが、断熱材です。断熱材は熱を伝わりにくくするもので、住宅の基礎や外壁に施し、住まいの室温を保つ働きがあります。夏場は室内の温度上昇を防ぎ、冬場は冷気が侵入するのを防ぐのに効果的です。また、断熱材により冷暖房の使用を最小限に抑えれば、電気代の節約にも繋がります。素材は、発泡プラスチック系・無機繊維系・木質繊維系・天然素材系があります。

断熱と似ている言葉が、遮熱です。遮熱シートは太陽の光を反射させて、室内の温度上昇を防ぐものです。屋根や外壁に遮熱シートを施工すると、夏場は直射日光を反射して室内を涼しくします。また、冬場は壁に施工した遮熱シートが室内の熱を内側に反射し、熱を外に逃がさない効果もあります。断熱と合わせて、遮熱の効果も把握しておくとよいでしょう。

基礎断熱と床断熱の違い

住まいの断熱には、床断熱か基礎断熱が用いられています。この2つの違いは、断熱材を施す場所です。床下に断熱材を施すものは床断熱と呼ばれ、基礎部分に断熱材を施すものは基礎断熱と呼ばれています。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきます。

基礎断熱のメリット

基礎断熱は床断熱に比べて、気密性や断熱性に優れた工法です。冬場でも室内が冷えにくく、省エネ効果もあります。また、床下に換気口を設置する必要がなく、冷気が入り込まないため、水道管が凍結する心配も無いでしょう。さらに、住まいの室温を快適に保つことで、ヒートショックの予防にも効果的です。床断熱のように断熱材の厚みが制限されないため、断熱性を高くしやすいメリットもあります。住まいの断熱性や気密性を上げたい方に、おすすめの工法といえます。

基礎断熱のデメリット

基礎断熱のデメリットは、シロアリが基礎に侵入しやすいことです。とくに断熱材が外側にある工法では、シロアリの侵入経路が発見しにくいといわれています。最悪の場合、気が付かない間に被害が進行してしまう可能性もあるでしょう。基礎断熱を施工する際は、シロアリ対策が必要です。具体的には、防蟻処理された断熱材の使用や、定期的な防蟻薬剤の注入、断熱材の外側に侵入を防ぐ金属メッシュを設置するなどの方法があります。また、床下換気システムを使いシロアリを発生しにくくさせる対策法もあります。

もう1つのデメリットは、最初の1~2年はカビが発生しやすいことです。これは、基礎コンクリートに含まれた水分が施工後1~2年間は蒸発するためです。カビの対策法としては、24時間換気の経路を床下も含めて設計する方法や、断熱換気口を3〜4個設置する方法があります。

床断熱のメリット

床断熱は長く施工されてきた工法で、技術が安定しています。また、換気口を設置するため、湿気やシロアリの対策に効果的です。基礎断熱に比べて、シロアリの被害を受けにくいともいわれています。さらに、床断熱はリフォームでも設置しやすいメリットがあります。既に住んでいる家に断熱材を施工したい場合や、シロアリが多い地域に住まいを建てる場合は床断熱がおすすめです。

床断熱のデメリット

床断熱は施工できる断熱材の厚みに制限があります。断熱材の厚みが薄いと、断熱効果は下がってしまうでしょう。施工できる断熱材の厚みは、床下のスペースにより決まります。とくに配線周りなどの細かい部分は断熱材を施工しにくく、薄くなったり均一にならなかったりするケースがあります。また、床下断熱は床下に換気口を設置しなければならず、冷気が侵入しやすいのもデメリットです。

基礎断熱の施工方法

基礎断熱の施工方法は2種類で、基礎外断熱と基礎内断熱があります。基礎外断熱は、断熱材を基礎立ち上がり部分の外側に張る工法で、コンクリートの劣化を防ぎ、耐久性があります。また、基礎内断熱に比べて断熱効果が高いのも特徴です。ただし、基礎内断熱よりもシロアリが侵入しやすいため、対策が必要になります。

基礎内断熱は、断熱材を基礎立ち上がり部分の内側に張る工法です。基礎外断熱に比べてシロアリが侵入しにくいですが、断熱効果は弱まります。シロアリが多い地域では、基礎内断熱が選ばれることが多いです。

断熱材の種類と特徴

断熱材はさまざまな素材で作られています。どの種類を選ぶかで、耐久性や費用が変わります。また、基礎部分の断熱材に適しているものとそうでないものがあるため、把握しておくとよいでしょう。ここでは、断熱材の種類を紹介します。

グラスウール

グラスウールは無機繊維の断熱材です。ガラスなどをリサイクルして繊維状にしたもので、綿状になっているのが特徴です。安価なため広く普及していますが、湿気に弱く耐久性は低いため基礎部分の断熱材には向きません。

ロックウール

ロックウールも無機繊維の断熱材です。岩や石から作られる鉱物繊維で、耐火性に優れているのが特徴です。グラスウールよりも重く扱いにくいため、施工する場合は技術が必要になります。

セルロースファイバー

セルロースファイバーは木質繊維の断熱材です。新聞紙や段ボールをリサイクルして作られる断熱材で、海外では主流ですが日本では多く用いられていません。環境にやさしく防音性に優れた断熱材ですが、コストが高いデメリットもあります。

ウール・コルク

ウールやコルクは天然素材の断熱材です。体にやさしく、シックハウスの軽減効果もあります。また、保湿性と速乾性に優れていますが、コストが高く施工できる業者は少ないのが現状です。

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは、発泡プラスチックの断熱材です。ボード状の断熱材で、基礎や床下の断熱にも適しています。また、ポリスチレン樹脂からできているため、湿気に強く軽い特徴があります。自由に形作れるメリットがありますが、耐火性は弱いのがデメリットです。

硬質ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームも、発泡プラスチックの断熱材です。混ぜた材料を機械で吹き付けて施工するため、特殊な技術を必要とします。また、気密性を高めやすいですが、業者の技術が未熟だと厚みが均一にならない可能性もあります。基礎ではなく壁や天井に用いられることが多く、コストは高めです。

フェノールフォーム

フェノールフォームも同様に、発泡プラスチックの断熱材です。発泡剤や硬化剤を混ぜて作られるもので、耐久性や耐火性に優れています。断熱材の中でもとくにコストが高く、あまり普及していない種類です。

基礎断熱の特徴を理解して快適な空間づくりを

基礎断熱は北海道で生まれた、断熱性・気密性の高い工法です。高断熱・高気密の住まいは、エアコンの使用が減り省エネになるメリットや、部屋ごとの温度差を抑えてヒートショック防止になるメリットがあります。デメリットは、床断熱に比べるとシロアリ被害に合いやすい点です。基礎断熱を施す場合は、シロアリ対策が必要になります。さらに、施工後は基礎部分にカビが生えやすくなるため、定期的な換気が大切です。床断熱は多くの住まいに用いられている工法で、安定した技術があります。また、換気口を設置するため、シロアリ対策や湿気対策に効果的です。断熱材は素材によっても、性質やコストが変化します。工法や断熱材の特徴を知り、断熱性に優れた住まいを建てましょう。

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