小上がりとは?メリット・デメリット、工夫の仕方

リフォーム

注文住宅で和室を作りたいと考えるとき、他の部屋と同じような一般的な和室にするか、小上がりの和室にするかの選択で悩む人もいるでしょう。
小上がりにすると部屋にアクセントができて、デザイン空間としておしゃれな雰囲気を出せます。しかし具体的なサイズや予算は、どのようなことに注意しておけばいいのでしょうか。小上がりをつくるのと普通の和室を設けるのとでは、どのような違いがあるのか、なかなかイメージしづらいかもしれません。
この記事では、小上がりを検討する前に知っておきたいメリット・デメリットや、作るポイント、使い方までを詳しく解説していきます。
マイホームに和室の設置を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

飲食店などでよく見かける「小上がり」

飲食店やホテルなどで、小上がりを見たり使ったりしたことがある人は多いでしょう。最近では住宅やマンションでも、小上がりは人気があります。和室そのものは減少傾向にある新築住宅ですが、小上がりの和室はデザインや機能性の高さから、家づくりを検討している若い人にも支持されています。
ここでは、小上がりについての定義や基本情報をお伝えします。

床面に高さを設けたスペースのこと

小上がりとは、床面から高い位置に段差を設けて作られた、小さな座敷のことです。
座敷は日本建築で古くから使われてきた部屋のことで、座具を敷いて座る空間のことを指しています。畳敷きだけでなく板の間でも座敷と呼び、もともとは客間として使われてきました。
現代の小上がりは客間としての機能だけでなく、さまざまな用途で使われています。
畳敷きに限定されず、設置する家によってはフローリングタイプなどがあり、3〜4畳ほどの広さにさまざまな意匠をこらしたデザインが採用されています。

飲食店で靴を脱いで上がるお座敷席も小上がり

小料理屋など飲食店での小上がりでは、テーブルが並ぶ椅子席とゆるやかに仕切られただけの空間や、靴やスリッパを脱いで一段高い独立した小部屋となっているタイプがあります。ゆっくりくつろげる座敷席として設置されていることが多く、店舗によっては子ども連れの家族を優先的に案内する場所として使用されています。

住宅では主にリビングで取り入れられる

住宅で設計された小上がりは、リビングの一角に設けられることが多く、琉球畳を敷いてデザイン性の高い和室にしたり、来客用の畳ベッドを設置したりと使い方は多種多様。
また小さい子どもがいる家庭では、普段のあそび場所として利用されています。その場合、おもちゃを広げていても、仕切りを設置しておけばすぐに隠せるため、急に来客があったときにも便利です。
小上がりの広さをそれほど取れない場合は、2畳ほどの畳敷き小上がりにクッションを敷き詰めて、長椅子やソファがわりとしても使えます。

小上がりのメリット・デメリット

小上がりの形状がわかったところで、ここからは小上がりを検討する前に知っておきたい、メリットとデメリットを解説します。

メリット:空間に奥行きが生まれる

小上がりは視覚的にも空間にリズムができるため、立体感のあるおしゃれなリビングとして、他にはない演出ができるでしょう。
高級旅館のような非日常感のあるスタイリッシュな雰囲気をつくり出すこともできるため、部屋のイメージを変えるために、リフォームなどで後から設置する家もあります。

メリット:様々な用途で使える

小上がりは来客用の宿泊部屋や小さな子どもの遊び場など、利用方法が幅広いのも大きな魅力です。
例えば、小上がりの広さによっては、本格的な掘りごたつ式の和室としても使えますし、リビングの延長として家族がくつろげる便利なスペースとしても使えます。
リビングの床面から一段高い位置にあるため、ベッドのように寝そべって、リラックスする場所としても気持ちがいいでしょう。
他にも、上手に仕切れば半個室として使えるため、在宅で仕事をする人や書斎が欲しい人には集中しやすい空間として活用できるでしょう。

メリット:収納を増やせる

床面から一段高い設計を活かして、小上がりの床下を収納として利用できます。
リビングでは居住空間を広くとりたいという要望が多く、収納スペースが少なくなりがちです。それなら小上がりを使って、収納を増やすことを検討してみてはいかがでしょうか。
小上がりの収納は、上部の天面が開くタイプや横から引く大きな引き出しタイプがあり、デザインによってはその両方を設置することができます。
小上がりの面積が広ければ広いほど、大きな収納場所をつくり出せるため、収納スペースがあまり取れない住宅におすすめです。
オフシーズンの衣類や家電、来客用の布団など、大きくて収納に困るようなものも、小上がりの収納であればすぐに取り出しやすいといったメリットがあります。
小上がりの収納を上手に使いこなせれば、大きな荷物も収納できるため、リビングを広々とした空間として使えるでしょう。

メリット:空きスペースを有効活用できる

家の形や設計上でできてしまったデッドスペースを、小上がりとしてならば四角い空間でなくても、幅広く有効活用できます。
一段高い場所にあることを利用できる小上がりは、部屋としてだけでなく、広めのソファやベッド代わり、または大型収納スペースとしても使えるからです。
2畳程度でも十分機能するため、間取りの空きスペースに悩む方は、検討してみてはいかがでしょうか。

デメリット:バリアフリーには不向き

小上がりは段差が高いため、バリアフリーの必要な家族がいる場合には向いていません。高齢者や小さな子どもが乗り降りするときは、危険が伴うため注意してください。
特に小さい子どもは落下する危険があり、小上がりを設置したいときはベビーガードを利用することをおすすめします。
小上がりを部屋として使うのではなく、高齢者のための腰掛けがわりにするならば、高さがちょうどよく重宝するでしょう。さらに段差の部分に、登り降りをしやすくするステップと手すりを設けることで、高齢者でも使える安全な設計もできます。
また、人気のあるロボット掃除機を使う場合も、小上がりはバイアフリーではないため使えません。フローリングとは別に掃除が必要となるため、不便に感じる人もいるでしょう。

デメリット:サイズや高さによっては空間が狭く感じる

小上がりはリビングに設けられることが多く、3〜4畳程度を占めることになるため、サイズには注意して設計しましょう。
小上がりが広すぎたり、家具などを設置したりすると、リビングが狭くなってしまうかもしれません。天井までの高さが低い住宅では、高い段差がある小上がりの空間が窮屈に感じるようになってしまいます。
小上がりの設置を希望する場合は、サイズや天井の高さに注意しながら設置しましょう。

小上がりを作るときのポイント

小上がりをつくりたいと決めたら、具体的に何を検討していけばいいのでしょうか。
ここでは、小上がりをつくる場合にチェックしておきたい、3つのポイントを解説します。

予算を把握しておく

小上がりを設置する費用は、広さ・フロアの素材・仕切り・収納の種類によって変わるため、希望の仕様にした場合の予算を把握しておきましょう。
広さは4.5畳が圧倒的に多く、他にも3畳・6畳が人気です。6畳を選択する場合は、間仕切りをつけて個室仕様が支持されています。
畳敷きにするかフローリングにするか、畳の種類にもイグサや琉球畳などがあるため、それぞれ設置費用が異なります。
さらに掘りごたつを設置すると、電気工事代も追加されます。
どのような小上がりのデザインにしたいのか、どう使いたいのかをしっかりイメージしてから、施工業者に見積もりをお願いしましょう。

天井や間取りとのバランスを考える

小上がりのサイズを考えるとき、リビングに設置したときの部屋全体のバランスに気をつけましょう。
小上がりがあると、リビングが狭く感じることもあります。それは小上がりから天井の高さが狭すぎたり、小上がりの広さがリビングに対して広すぎたりするためです。
小上がりの段差は30〜40cmあたりが、ちょうど座ってくつろぐのに適度な高さです。一般的な階段の段差は20cmですから、それよりも高くなります。
収納を重視する場合は、収納容量を考えると20cmだと低すぎてしまい、少なくとも30〜35cmは必要でしょう。
盲点になるのが、家族の身長の高さです。背の高い人がいる場合、小上がりに上ると段差の分だけ天井に近づくため、圧迫感を感じるかもしれません。逆に「狭い空間が好き」という価値観もあるため、家庭によって小上がりのサイズの選択はさまざまでしょう。

主目的が収納であれば他の収納方法も検討に含める

小上がりに収納を作る場合、何度もしゃがんで出し入れすることを想定しておきましょう。さらに奥行きや高さがそれほど取れない収納サイズだった場合、入れるものが限られてしまう可能性があります。
何を収納したいのかを事前に決めておくと、小上がりのサイズを決めやすくなります。
小上がりの収納だけでは入り切らない物も収納できるよう、他の収納スペースも合わせて検討しましょう。

小上がりの使い方はさまざま

これまで紹介したように、小上がりは便利で重宝する空間です。空間としての用途が幅広く、使い方もさまざまなシチュエーションが考えられます。
ここでは、小上がりの具体的な使い方を紹介していきます。

勉強スペースや書斎として

間仕切りをつくり半個室として使えるようにしておけば、小上がりはリビングと一時的に切り離して、静かな勉強スペースや書斎としても使えます。
しかしリビングともつながっているため、小上がりの中と外で家族の存在を感じながら過ごせるといったメリットがあります。
小上がりの近くに本棚や机を設置しておくと、さらに使いやすくなるでしょう。

こたつなどを置いて家族の団らんスペースに

新築住宅のリビングはフローリング仕様の場合が多く、こたつを置くスペースが取れないことも多いでしょう。
小上がりがあれば、3〜4畳の空間でもこたつを置いて使うこともできます。
小上がりの段差を活かして掘りごたつ式の和室にもできるため、冬の寒い日に家族団らんが楽しめるスペースとして活用できます。

子どもの遊び場として

子どもが遊びで使う場所として、小上がりは大変便利です。
おもちゃを出す場所として空間を限定しやすいため、リビングを散らかし放題にさせないように子どもと約束をしたり、一緒に片付けもしやすいでしょう。
段差を利用して机がわりや椅子がわりにもできるため、子どもにとっては楽しい遊び場として活用できます。
小上がりはリビングの一角に設置していることが多いため、キッチンからも見守りができて、子どもと常にコミュニケーションが取れるといったメリットがあります。
ただし歩き始めて間もない小さな子どもの遊び場としては、転落の危険があり注意が必要なため、間仕切りの設置やベビーガードなども検討しましょう。

昼寝やストレッチなどのリラックススペースとして

仕切りをつくらず、すぐに使える小上がりのデザインであれば、ちょっとした昼寝やストレッチするなど、寝そべることができるリラックス空間として利用できます。
小上がりに設置した引き出しに、毛布やヨガマットなどをしまっておけば、使いたいときにすぐに取り出せてとても便利です。
窓の近くにある小上がりならば、ウッドデッキなどと連動させた設計はいかがでしょうか。季節を感じながらゆっくりできる快適なスペースとしても、気持ちいい場所になるでしょう。

来客時の客室として

住まいづくりの悩みで、客間をつくるべきかと迷う人もいるのではないでしょうか。来客がそれほどあるわけではない家でも、来客時は困ってしまうこともあるかもしれません。
狭小住宅や部屋数が多く取れない場合でも、小上がりならば普段は家族用スペースとして活用し、来客時は客間として使えます。
来客用の布団などもすべて収納できるため、重宝する空間となるでしょう。
来客用として使う小上がりには必ず仕切りをつけ、個室として使えるようにしておくことをおすすめします。

空間に緩やかなメリハリを与える小上がり

ここまで、小上がりを検討する前に知っておきたいメリット・デメリットや、作るポイント、使い方までを詳しく解説してきました。
小上がりを設置するときに最も重要なことは、「どう使いたいか」をしっかり決めておくことです。それによって、サイズや収納タイプなども決まってくるでしょう。
小上がりはデザイン的にもオリジナリティを演出でき、非日常を感じられる空間をつくり出せます。
小上がりを上手に取り入れて、快適でおしゃれなリビングを目指してみてはいかがでしょうか。

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