【建築寸法の単位】メーターモジュールと尺モジュールの違い

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モジュールは住まいの設計で用いられる単位です。メーターモジュールと尺モジュールがあり、どちらを選ぶかで部屋の広さや設計が変化します。これから住まいを建てる予定の方は、これらの違いを知っておくとよいでしょう。本記事では、モジュールの違いやメリット・デメリットを説明します。また、日本で流通しているモジュールについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

設計単位として知られる「モジュール」

モジュールは、建物の寸法の基準です。柱と柱の間の距離を指しており、メーターモジュールは1辺が1m、1グリットが1000mm×1000mmです。つまり、柱と柱の中心を繋いだ距離が1000mmになります。実際に使える範囲は1000mmよりも少なく、柱や壁の厚みを除いた部分です。この柱や壁の幅を除いた使用できる面積を、有効巾や有効幅と呼びます。

メーターモジュールと尺モジュールがある

モジュールには、メーターモジュールと尺モジュールがあります。この2つの違いはご存知でしょうか?尺モジュールは、尺貫法の3尺を基礎にしたものです。メーターモジュールが1グリット1000mm×1000mmなのに対して、尺モジュールは910mm×910mmです。つまり、比較すると尺モジュールは1辺が9㎝短くなっています。どちらを基準にして家を建てるかで、部屋の広さや費用が変わります。

また、先ほど説明した有効巾も、モジュールによって変化するので把握しておきましょう。柱や壁の幅は住宅メーカーによって異なりますが、メーターモジュールの有効巾は約870mmです。それに対して、尺モジュールの有効巾は約780mmといわれています。

メーターモジュールのメリット・デメリット

メーターモジュールで住まいを建てるときの、メリット・デメリットを紹介します。注文住宅を建てる際は、ぜひ参考にしてみてください。

メリット

メーターモジュールのメリットは、広い家を建てられることです。尺モジュールよりも基準の寸法が長いため、全体的な家の大きさが広くなります。もちろん土地の面積には制限がありますが、尺モジュールに比べると広々とした設計がしやすいです。

その他にも、通路や階段にゆとりができるメリットがあります。一般的に玄関・通路・階段は居室よりも狭くなりやすいですが、メーターモジュールではゆとりのある設計が可能です。また、車椅子が使えるバリアフリー設計にも適しています。

デメリット

デメリットは、土地が狭いと設計しにくい点です。基準の長さが長いと、小さめの土地で細かい設計ができません。寸法の単位が大きいと、限られた面積での設計がしにくくなります。

さらに、メーターモジュールは費用が高くなりがちです。尺モジュールと比べて20%広くなるため、建物が大きくなる分建築費も増えるでしょう。坪面積が同じであれば、比較的差はありません。ただし、メーターモジュールの製品は多く流通していないため、割高になることもあります。

尺モジュールのメリット・デメリット

次に、尺モジュールで住まいを建てるときのメリット・デメリットを説明します。メーターモジュールと比較して、どのような特徴があるのかを見ていきましょう。

メリット

尺モジュールのメリットは、必要な場所だけ広く作る自由設計が可能な点です。例えば、通路や玄関周り、リビングのみをワイドモジュールに設計できます。生活動線に合わせて設計すれば、移動しやすい快適な住まいが建てられるでしょう。注意点は、住宅メーカーによっては特殊工事に別途費用がかかることです。通路などを部分的に広く設計したい場合は、予算に余裕を持たせておくと安心です。

また、尺モジュールは和室を作りやすいメリットもあります。畳・障子・ふすまなどの既製品は、尺モジュールに合わせて生産されるものが多くあります。和室のある間取りを希望する方は、尺モジュールが適していることを把握しておきましょう。

デメリット

尺モジュールのデメリットは、メーター規格の収納が使いにくいことです。市販の収納には、メーター規格のものが多くあります。そのため、尺モジュールの部屋に置くと無駄なスペースが生まれたり、綺麗に収まらなかったりします。また、収納だけでなく日用品もメーター規格のものが多いです。部屋の大きさに合わせて綺麗に収納したい方は、収納や日用品が選びにくくなる可能性もあります。

もう1つのデメリットは、通路や玄関が狭くなりやすいことです。メーターモジュールに比べると基準の長さが短いため、全体的にコンパクトな設計になります。とくに、1モジュールしかないトイレや階段は狭くなりやすいでしょう。

畳の大きさもモジュールで変化する

和室に使う畳の大きさも、モジュールによって大きさが異なります。メーターモジュールの畳は1枚1000mm×2000mmなのに対して、尺モジュールの畳は1枚910mm×1820mmです。部屋の広さと同様に、畳の大きさも1.2倍差がある作りになっています。障子や襖は、畳の大きさに合わせて用意する必要があります。

帖数で部屋の大きさを比較する

モジュールの違う部屋の大きさを比較したいときは、帖数で比較するとわかりやすくなります。「帖」は洋室・和室に関係なく使える単位です。一般的に1帖1.65㎡で、6帖の和室はメーターモジュールだと約7.3帖です。また、尺モジュールの場合は約6.0帖になります。帖数で比較すると、1.2倍の差があることが一目でわかります。部屋の広さを比較するときは、帖数にするとわかりやすいことを覚えておきましょう。

日本では尺モジュールが主流

広々とした設計が魅力のメーターモジュールですが、日本では扱っているメーカーが限られています。日本で多く普及しているのは、昔から木造建築に使われている尺モジュールです。ただし、住宅メーカーによっては、両方取り扱っている場合もあります。どちらを選ぶか自由に決められるケースや、1階と2階で分けられるケースもあるので、希望する設計を住宅メーカーに相談してみるとよいでしょう。

メーターモジュールを扱う住宅メーカー

ここでは、メーターモジュールの住まいが建てられる住宅メーカーを紹介します。新しい住まいを建てるときの参考にしてみてください。

積水ハウス

積水ハウスは、創業当初からメーターモジュールを取り入れている大手住宅メーカーです。ユニバーサルデザインに力を入れており、福祉や介護の施設も手がけています。安全性や操作性を重視した、快適に暮らせる住まいを建てられます。

トヨタホーム

トヨタホームは、車の生産技術を生かして住まいを建てる住宅メーカーです。鉄骨ラーメンユニット工法を使ったメーターモジュールの家を建てられます。一般的な鉄骨柱は100mm角が多いですが、トヨタホームは125mm角の鉄骨柱を用いています。太い柱で支えられた強度のある住まいが特徴です。

タマホーム

タマホームは、ローコスト住宅を扱う住宅メーカーです。タマホームの商品の1つである「大安心の家」は、メーターモジュールで建てられています。住まいの性能が良く、価格も抑えられるのが特徴です。

ユニバーサルホーム

ユニバーサルホームはフランチャイズの住宅メーカーです。全国に加盟店があり、地熱を利用した床暖房システムを採用しています。一階の全面に床暖房を設置したローコスト住宅が建てられます。

アイフルホーム

アイフルホームも、メーターモジュールのローコスト住宅が建てられる住宅メーカーです。建材を海外から輸入することで、品質を保ちつつ建築費を抑えています。また、生活動線を考えた暮らしやすい設計が魅力です。

設計にはじっくり時間をかけること

モジュールの意味や違いを解説してきました。日本で多く流通しているのは尺モジュールですが、最近ではバリアフリーに対応しやすいメーターモジュールも増えてきています。メーターモジュールは、広々とした部屋を設計しやすいのがメリットです。設計の基準が長いため、通路や玄関などにゆとりが生まれます。デメリットは、費用が割高になることです。部屋が広くなると、その分建築費も多くかかります。一方で尺モジュールのメリットは、必要な場所だけを広くする自由設計ができることです。例えば、通路や玄関をワイドモジュールで設計する方法があります。ただし、特殊工事には追加で費用がかかるケースもあります。また、尺モジュールは和室が作りやすいのもメリットです。デメリットは、メーター規格の収納が使いにくいことや、通路や玄関が狭くなるケースがあることです。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、快適な住まいを作りましょう。

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