三和土(たたき)ってどこのこと?特徴やメリットやデメリットを解説

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三和土という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。多くの方は「さんわど」と読んでしまいそうですが、正確には「たたき」と呼び、古くから日本の住宅に用いられてきました。

近年では三和土が新築住宅の建築で注目を浴びているため、今回は、三和土とはなにか、どのようなメリットデメリットがあるのかなどを詳しく解説します。これから住宅の建築やリフォームを検討している方は是非参考にしてください。

三和土(たたき)は玄関土間の仕上げのこと

三和土とは、玄関土間の仕上げ方法を指します。また三和土を玄関の土間スペースとして呼ぶケースもあります。

近年の住宅玄関にはタイルやコンクリートを取り入れている家庭が多いですが、古い住宅玄関では三和土が中心でした。

コンクリートなどの素材がない時代は、突き固めた三和土を採用していたため、今でも古い住宅には見られます。古民家のリノベーションでもあえてタイルなどを使わず、当時の味を出すために三和土で玄関を施工している方も多いです。

しかし近年の住宅でも三和土は用いられています。後ほどのメリットでも紹介しますが、三和土を取り入れることでよりおしゃれな住宅にすることも可能です。

建売住宅などでは三和土は見られませんが、高級住宅やデザイナーズ住宅では採用している方も多いです。以上の理由から三和土が注目を浴びている要因にもなります。

また三和土は土間スペースとして使われますが、庭や屋外にも施工可能です。ただし、技術力が高い職人の施工が求められます。

本来の三和土は雨風に弱く、屋外に施工すると劣化します。しかし施工能力が高い職人が仕上げる三和土は、雨がかかっても崩れることもありません。もちろん劣化はするものの、職人次第で長持ちすることも可能です。三和土を施工する際は、経験豊富な職人を選定するようにしましょう。

三和土の材料とは

三和土の材料は名前の通り3つの材料からできています。

  1. 土(砂)
  2. 石灰
  3. にがり

3つの材料を合わせて固めたものを三和土と言います。ここではそれぞれの材料について紹介します。

三和土に使われる土は、花崗岩、安山岩などが風化して出来た赤土を指します。全国的に長崎の天川土や愛知県三河の三州土、京都深草の深草土などが採用されており、石灰との相性も良く固まりやすくなる特徴があります。

ここでいう石灰は水酸化カルシウムがある消石灰を指します。

三和土を固めるために用います。

にがり

にがりとは塩化マグネシウムを主成分とした食品添加物で、海水などからとれます。

豆腐などに用いられることが多いイメージですが、三和土にも用いられています。

三和土の作り方

三和土の施工は職人に依頼することが通常です。

三和土の材料はホームセンターなどで購入できるものばかりですが、DIYでの施工は難しいです。

難しい理由も含め、ここでは三和土の作り方を紹介します。

砕石を敷く

玄関に砂石を敷き、転圧機械で固めます。砂利の隙間を少なくし、三和土の施工時に動かないようにするためです。転圧をしっかりしないと施工後に浮きやクラックなどの原因にもなりかねません。

材料を混ぜる

三和土は2層階で作ります。層によって配合が異なり、かつ気温や湿度を考慮する必要があります。さらに土の種類によって配合量の微調整が必要となるため、DIYでの施工は難しいと言われています。

1層目は土と砂、消石灰、にがりの混合させたもの、2 層目は土と消石灰、にがりのを混ぜたものになります。

この配合方法と分量を間違えると三和土としての強度はなくなります。

1 層目を施工する

下地である砕石に水をかけ1層目の施工を行います。半分程度の高さまで施工し、丁寧に叩き、空気を取り除いていきます。

2 層目を施工する

1層目の施工が完了した後は2層目の工事を行います。1層目と同様に優しく丁寧に叩きます。

仕上げ

最後に水をかけながらコテで表面を滑らかに仕上げます。斜めにならないように水平を意識することがポイントです。その後乾燥させますが、物を落としたり足で踏まないように注意しましょう

どうして三和土(たたき)というのか?

三和土はなぜたたきと呼ばれるのでしょうか?

もともとは敲き土と呼ばれておりましたが、先ほど紹介した3つの材料を敲いて固めたことから三和土と書き、たたきと読むようになったとされます。

しかし、後ほど紹介しますが三和土は雨に弱く欠けなどが起こるため、セメントなどが主流になってからは使われる機会は少なくなりました。現在の住宅玄関はコンクリートやタイルなどが使用されておりますが、昔の名残から「たたき土間」とも呼ばれています。

三和土の種類とそれぞれの特徴

ここでは三和土以外に玄関スペースに用いられる材料とメンテナンス方法を紹介します。

それぞれの特徴を理解して、三和土と比較してみましょう。

コンクリート

コンクリートはセメントと細骨材、AE混合剤、水を合わせて固めた材料です。耐久性が高いため、ガレージや駐車場などに使われるケースが多いです。近年の住宅玄関には土間にコンクリートを採用している家庭も増えてます。ただし表面は凹凸があるためモルタル仕上げにするのが一般的です。

コンクリートは施工業者も多く材料費も安いため、施工費を抑えることが可能です。しかし、表面が滑りやすく、濡れた状態は注意しなければいけません。

雪国などの北海道や東北は、玄関スペースにコンクリートを施工する家は多くありません。もちろん住宅によって異なりますが、滑って転ぶ危険性があると認識しておきましょう。

モルタル

モルタルはセメントと水、砂を混ぜた材料です。コンクリートの表面仕上げとして用いるケースが多いです。セメントはコンクリートと一緒に施工されるのが通常ですが、耐久性はないため、地震などでクラックが発生しやすい特徴があります。そのため、モルタルで表面を施工する場合は定期的な補修が必要となります。

レンガ

レンガは粘土を焼いた材料でできており、表面がザラついた質感であるため滑りやすい特徴があります。厚みもあるため耐久性は高いですが、経年劣化により欠けやすくなることも多いです。またレンガはひとつひとつを施工していくため溝ができます。溝は汚れが溜まりやすい箇所であるため定期的な清掃が必要です。

タイル

レンガ同様粘土などを高温で焼き固めた材料です。デザインのバリエーションも豊富なため、多くの住宅に取り入れられています。以前までは価格も高く、玄関のタイル仕上げは高級品と言われていましたが、近年では低価格の商品も増えてます。ただし、レンガと違って厚みがないため、重さのあるものを落とした場合は割れるケースも多いです。

天然石

天然石は数の少なさと加工も難しさから、材料の中でも最も価格が高額です。

高級感と深み、味わいを全て網羅した材料であり、高級住宅などに使われるケースが多いです。しかし、天然石の中には酸性やアルカリ性に弱い素材も多いため、扱いには十分注意が必要です。

玉砂利洗い出し

小さな砂利をモルタルと混ぜてものを施工し、乾燥する直前に水をかけ砂利を浮き出させる仕上げ方法です。和風の住宅との相性も良く、見栄えが向上します。ただし三和土同様施工できる業者も少ないため、価格も高額となってます。

三和土のメンテナンス方法

三和土は定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスと言っても難しくなく、掃き掃除と拭き掃除になります。ここでは2つの清掃方法を紹介します。

掃き掃除から始める

三和土の清掃は履く掃除から始めます。もちろん掃除機でも構いませんが、三和土を傷つけないためにもホウキがおすすめです。

拭く掃除

三和土はタイルやコンクリートと比べて水に弱いですが、ある程度の拭き掃除で有れば問題ありません。

濡れた雑巾で三和土の汚れを落とします。しつこい汚れがある場合は、デッキブラシでも問題ありません。ただし、水で濡らし過ぎると乾燥させるのが大変ですので、少量の水を使うようにしましょう。乾燥が完了するまで三和土の上には乗らないようにしておくことがポイントです。

三和土にはデメリットも

三和土が使用されなくなった理由には、いくつかデメリットがあるからです。ここでは三和土のデメリットを5つ紹介します。

また三和土ならではのメリットも紹介します。

三和土のデメリット

三和土のデメリットは下記の5つ挙げられます。

  1. タイルなどに比べると強度は劣る
  2. 欠けや削れが起こる
  3. 豊富な知識経験が必要(DIYは難しい)
  4. 工事期間が長い
  5. 費用が割高

タイルなどに比べると強度は劣る

三和土の材料を見てわかる通り、コンクリートやタイルと比べて強度が低いです。3つ材料を混ぜるとはいえ、基本的には土が主原料であるためすぐに削れてしまいます。そのため現在の住宅ではほとんど使われていません。使った場合であってもすぐに補修が必要となるでしょう。

欠けや削れが起こる

玄関を三和土で仕上げたとしても、靴で歩いたりすると欠けなどが発生します。

さくほどもお伝えした通り、主原料は土であるため削れると認識しておきましょう。

豊富な知識経験が必要(DIYは難しい)

材料だけを見るとDIYでも施工できると思われがちですが、土の性質に合わせた原料の石灰やにがりの配合が必要なため、経験と技術が求められます。

セメントと異なり、土は含水量や細骨材などの成分は一つ一つ異なります。また気温や湿度も関連してくるため、インターネットに記載してある分量を合わせたからと言って完璧な三和土ができるとは限りません。

三和土を作り施工するためには専門的な知識が求められます。

工事期間が長い

三和度は気温や湿度などの影響により、施工に手間がかかることから、タイルやコンクリートより工事日数が長くなります。

コンクリートやタイルは下地を作った後、施工し乾燥させます。三和土も同様ですが乾燥機時間が長く、早くて10日から2週間要します。さらに梅雨の湿度が高い時期は1か月に及ぶ場合もあります。もちろん乾燥期間中は三和土の上を歩くことができないため、別の場所から家に入る手間も必要です。

費用が割高

現在では手間と時間がかかることから三和土の施工をする業者は少ないです。そのためタイルやコンクリートより費用が割高になります。

三和土を取り入れたい場合は、施工できる業者を複数社見つけ、相見積もりを取ることである程度費用を押させることにもつながるでしょう。

三和土のメリット

三和土にはさまざまなデメリットがあるものの、メリットもあります。ここでは下記の2つのメリットを紹介します。

ワンポイントアクセントにもなる

昔の三和土は土間スペースに施工されるケースが多く見受けられましたが、近年では縁側、リビングなどさまざまな場所に施工されることが増えてます。

自宅をよりおしゃれに見せるワンポイントにもなっています。デザイナーズ住宅では中庭に三和土を取り入れ、中池を作る家庭も多いです。和風建築にはとても合うところが三和土の強みでしょう。

もちろん色合いなどを替えれば洋風等の住宅にも合わせることも可能です。どこかワンポイントが欲しいという方は三和土を取り入れてみてはいかがでしょうか。

蓄熱効果がある

玄関の土間スペースをコンクリートやタイルにしている方も多いですが、冷たく感じたことはないでしょうか?

三和土は蓄熱効果もあるため、日が当たれば暖かくなります。玄関では日当たりが少ないものの、中庭や縁側の地面を三和土にすることで、より太陽の光を暖かく感じることも可能です。

適した三和土(たたき)で上質な空間づくりを

今回は三和土に着目し内容を紹介しました。昔ながらの住宅には多く見受けられますが、近年ではより住宅のワンポイントになることから注目されています。

これから住宅を建築する予定の方は、三和土の実物を見てから取り入れるか検討しましょう。しかし三和土にはデメリットもあります。他の材料より耐久性は低く、コストが高くなるため、総合的な費用とメンテナンスなどを考慮した上で判断するようにしましょう

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