外壁で起こるクラックとは?発生の原因と効果的なメンテナンス方法

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建物の外壁に細かいヒビ割れを見つけたことはないでしょうか?外壁のヒビ割れはクラックと呼ばれ、深刻な場合は補修が必要です。住宅でクラックが発生したときのために、クラックの危険性や補修方法を知っておくとよいでしょう。本記事では、クラックの危険性や要因、メンテナンス方法を紹介します。建物にヒビ割れが起きたときやヒビ割れの補修方法を知りたいときは、ぜひ参考にしてみてください。

クラックは外壁で発生するヒビ割れのこと

クラックとは、外壁に生じるヒビ割れのことです。具体的には、ヒビ割れの状態によって2種類に分かれています。また、クラックの大きさや深さによって危険性は異なります。クラックの種類と特徴について見ていきましょう。

ヘアクラックと構造クラック

幅0.3mm深さ4mm以内のヒビ割れは、ヘアクラックと呼ばれています。髪の毛のように細いヒビが壁に走ることからこの名前がつきました。ヘアクラックよりも大きいヒビ割れは、構造クラックと呼ばれています。

一般的にヘアクラックは外壁の表面に起こるヒビ割れで、建物自体に影響はありません。そのため、ヘアクラックを見つけたからといってすぐに補修する必要はないです。一方で構造クラックの場合は、表面だけでなく外壁そのものにヒビが入っていることが多いです。建物の耐久性に影響が出る可能性もあるため、補修が必要になります。

構造クラックの危険度

構造クラックはヒビ割れの形によって危険性が異なるため、目安を知っておくとよいでしょう。最も危険性が低いといわれているのは、建物に沿ってできた垂直・水平のヒビ割れです。クラックは重力の関係から、垂直・水平に生じやすいです。とくにモルタルやコンクリートはヒビ割れやすく、垂直・水平のクラックが多く見られます。また、地震の揺れを吸収した際に垂直・水平のヒビ割れが起こることも。その都度ヒビ割れを補修すれば安全に使えるため、危険性が低いといえます。

次に危険性が高いのは、ななめに入ったヒビ割れです。ヒビ割れがななめに入る建物は、建物自体のバランスが悪い可能性があります。建物に問題がある場合、補修してもヒビ割れが再発してしまうでしょう。安全性を確保するためには、耐震工事が必要なケースもあります。

最も注意したいのは、クロスしたヒビ割れです。建物にクロスのヒビ割れが発生するのは大地震のときに多く、通常は発生しません。建物の構造に問題があるため、耐震工事をするだけでは解決しないこともあります。とくに地震が起きていないのにクロスのヒビ割れを見つけたときは、かなり危険性が高いといえます。

クラック(ヒビ割れ)はなぜ起こる?

ヒビ割れの大きさや形によって、危険性が異なることを説明しました。そもそも、建物のヒビ割れはなぜ発生するのでしょうか?ここでは、ヒビ割れが起きる原因を解説していきます。

施工が不十分

短期間でヒビ割れが起きた場合は、施工に問題がある可能性もあります。外壁材と塗装の相性が悪いときや、外壁材の乾燥時間が不適切なときは、ヒビ割れが起きやすい傾向です。

塗装の劣化

直射日光の当たる外壁は、紫外線により劣化しやすいです。また、タイルのつなぎ目が劣化してヒビ割れに繋がることも。つなぎ目から起こるひび割れは、コーキング材が原因です。

地震

大きな地震も、建物がヒビ割れる原因になります。ただし、小さな地震で建物がヒビ割れたり、地震が起きていないのにヒビ割れたりした場合は、基礎に問題がある可能性があります。

乾燥

モルタル・コンクリートなどは、施工に水を使うため乾燥時にヒビが入りやすいです。そのため、施工したばかりでもヒビ割れが発生することがあります。細いヒビであれば建物の耐久性に影響せず、乾燥すると新しいヒビ割れはできなくなります。

不同沈下

不同沈下とは、建物の一部が地面に沈むことで建物全体が傾く現象です。ヒビ割れが深刻になると、不同沈下が起きる可能性も考えられます。最悪の場合は、建物が崩れる危険もあるため注意が必要です。

鉄筋の錆び

建物の鉄筋が錆びると、ヒビ割れを起こしやすくなります。鉄筋の周囲にあるアルカリ性のコンクリートが雨にさらされて中性化し、鉄筋の錆びを促進させます。錆びた鉄筋が膨張すると、外壁のヒビ割れが起きてしまうでしょう。

クラック(ヒビ割れ)を放っておくとどうなる?

ヒビ割れを放置しておくと、悪化して被害が広がる可能性もあります。ここでは、クラックが引き起こす建物の被害を説明します。

雨漏りする

クラックが悪化した場合に考えられる被害の1つは、雨漏りです。構造クラックのすき間から雨水が入ると、鉄筋の錆びや建物の腐食にも繋がります。構造クラックは建物を内部から劣化させるため、見つけたら速やかに対処しましょう。

外壁の剥がれ

ヒビ割れが悪化すると、外壁の剥がれも生じる場合があります。先ほど、雨漏りで建物の鉄筋が錆びることを説明しました。鉄筋の錆びは内部で膨張し、外壁を内側から押し出します。外壁が内側からの力に耐えられなくなると、部分的に剥がれてしまいます。

クラック(ヒビ割れ)の適切なメンテナンス方法

建物にクラックが発生したら、業者に依頼して補修しましょう。軽いヒビ割れの場合は、自分で補修できるケースもあります。ここでは、クラックの予防方法と補修方法を紹介します。住宅にクラックが発生した際や自分で補修する際は、ぜひ参考にしてみてください。

予防方法

クラックを防いで建物を長く使うためには、予防方法を覚えておくと役立ちます。ここでは、大きなヒビ割れを起こさないための、予防方法について説明します。

定期点検を行う

大きいヒビ割れを防ぐためには、定期点検がおすすめです。ヘアクラックであれば、上から塗装を塗るだけでヒビ割れを消せます。定期点検を依頼する際は、住まいを建てた施工会社か、リフォームを行ったリフォーム会社に連絡しましょう。

弾性塗料を使う

塗装を塗って補修する場合は、弾性塗料を選ぶとヒビ割れしにくくなります。弾性塗料には外壁材との相性があり、モルタルの外壁が適しています。反対に相性が悪いのは、サイディングの外壁です。サイディングに弾性塗料を施すと、ヒビ割れ以外の劣化症状が起きるため注意しましょう。

割れにくい外壁材を使う

外壁を張り替える際は、割れにくい外壁材を選ぶとクラック防止になります。一般的に耐久性が高いとされている外壁材は、タイルとサイディングです。どちらも耐用年数が長く、タイルは25~30年、サイディングは15~20年といわれています。

補修方法

ヘアクラックのように小さい範囲であれば、自分で補修することもできます。深刻なヒビ割れの補修は、必要な道具や技術も専門的になるため、業者に依頼した方が安心です。ここでは、クラックの補修で用いられる施工方法を紹介します。DIYと業者に依頼した場合の料金比較もするので、ぜひ参考にしてみてください。

シール工法

幅0.2~0.3mmほどのクラックを補修するのに適した工法です。施工方法は、まずクラックとその周りをワイヤーブラシで磨いて綺麗にします。次に、ヒビ割れた箇所にシーリング材を入れます。ヘラやハケでも塗布できますが、コーキングガンを使うと奥まで入れやすいでしょう。シーリング材を付けたら、ヘラやウエスで奥まで押し込みます。このときに、表面も平らにしておきます。色が異なり補修部分が目立つ場合は、外壁と同じ色に塗装するのもよいでしょう。

シール工法はDIYすると費用を抑えられます。DIYにかかる費用は、道具や材料費を含めて4000円ほどです。また、手間をかけたくない場合は、業者に依頼することもできます。業者に依頼する際の費用は、出張費などを含めて2~5万円ほどです。クラックの大きさによっても費用は変化し、1mあたり700円が相場です。

樹脂注入工法

幅0.3mm以上のクラックを補修するときに適しています。シーリング材と樹脂を乾かす時間が必要なため、工期は3日以上必要です。施工方法は、クラックに座金を取り付けることからはじめます。底にシーリング材を付けたシリンダー座金を、クラックに設置していきます。設置する間隔は、約24㎝おきです。その後、コーキングガンでクラックと座金の周りにシーリング材を塗布します。幅30㎝厚さ2mmで付けたら、翌日まで乾燥させます。次の日に行うのは、樹脂の注入です。シリンダーに樹脂を入れて、座金に取り付けます。加圧ゴムのロックを解いたら樹脂が注入されます。その状態で翌日まで置き、最後にシーリング材・シリンダー・座金を撤去したら完了です。

樹脂注入法は初心者には難しいため、DIYは推奨されていません。ただし、必要な道具を用意すれば自分で行うことも可能です。DIYで補修する場合にかかる費用は、道具や材料費を含めて29,000円ほどです。業者に依頼する場合は、出張費などを含めて4~8万円ほどかかります。また、補修する面積によって費用が上下します。施工面積1㎡あたりの相場は、2,900円前後です。

カットシーリング充填工法

幅1.0mm以上のクラックを補修するときに適した工法です。施工方法は、はじめにカットサンダーを使いクラックをU字型またはV字型に掘ります。掘った場所は、圧縮空気でほこりやゴミを飛ばしましょう。次にプライマーを溝に塗り、シーリング材で塞ぎます。ヘラで表面を平らにしたら、乾燥させます。乾燥した後に上から塗るのは、ポリマーセメントペーストです。ヘラやハケでシーリング材の上に塗り、再度乾燥させます。これで、クラックの補修は完成です。補修した部分が目立つときは、外壁の色に合わせて塗装します。

他の工法と違いカットシーリング充填工法は、専門的な工具や技術が必要です。そのため、自分でDIYするのは避けた方がよいでしょう。工具を一からそろえると、業者に依頼するよりも高額になる可能性があります。業者に依頼する際の費用は、出張費などを含めて8~15万円ほどです。また、施工面積に応じてかかる費用は変化します。相場は、1㎡あたり4,900円前後です。

定期的にメンテナンスしてクラックを防ごう

クラックにはヘアクラックと構造クラックがあり、ヒビの深さや危険性が異なります。ヘアクラックは外壁の表面のみがヒビ割れているケースが多く、建物の耐久性に影響はありません。一方で構造クラックは、外壁材までヒビ割れしている可能性が高いため、補修する必要があります。ヒビ割れを放置して建物を使い続けると、雨漏りや外壁の剥がれに繋がります。さらに悪化した場合は建物が崩れる危険性もあるため、十分に注意しましょう。クラックを予防するためには、定期点検を行うことが大切です。補修する場合は、シール工法や樹脂注入工法、カットシーリング充填工法を用います。シール工法は比較的簡単に施工できるため、DIYも可能です。予算や求める仕上がりに合わせて、業者に依頼するか自分で補修するかを検討するとよいでしょう。

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