DIP

Less is More・豊かな空間を持つ家

取材作品

二世帯家族の居所が、緩やかにつながりあう。

「Less is More(より少ないことは、より豊かなこと)」。この家に名付けられたのは、20世紀のモダニズム建築を代表する、ドイツ出身の建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの理念だ。今回のお宅にはそんな考え方が反映されている。

今まで住んでいた住まいを二世帯住宅に建て替えることにした砂川さん御夫妻。閑静な住宅街の一画に建てられた砂川邸には、砂川さん御夫妻と3人男の子、そして御両親が暮らしている。決して建物自体の主張は強くはないのだが、白の外壁をベースに、アーチのアプローチやよく手入れされたお庭がアクセントになっていて、自然と惹きつけられてしまう不思議な魅力がある。

ご主人のお母様が主導して進められたという砂川邸の建て替え計画を進めるうえで、提示された要望は大きく分けて“ハッとするような空間にすること”、“快適な住み心地”の2つだった。このうちの“ハッとするような空間にすること”の実現にあたり、DIP佐山さんはかなり骨を折ることになる。

「お母様は洗練されたモノに触れる機会も多く、家をつくるうえで譲れない条件がいくつもありました。お母様が求めていたのは飽きのこない、ハッとするデザイン性と、それを踏まえた上での住みやすさです。ハッとするデザイン性について、いろいろなアプローチで提案してもなかなか納得していただけなかった。最終的にプランが確定するまで、10回以上はプレゼンをしたと思います。求められた要望をひとつずつきちんと整理していくことで、最終的に納得のいく良い家が完成したんだと思います」と、DIP佐山さんは振り返る。

思う存分意見を交換し、砂川さんの要望に応える形で考えたのが、洋風モダンなテイストと曲線を取り入れたプランである。

DIP佐山さんは、お客様のご要望に応じて担当するスタッフを選任するプロデューサ能力にも長けている。 今回は社内の女性インテリアコーディネーター栗原さんとともに施工や打合に取りかかっていく。こうして完成した砂川邸は、女性でないとできない細かなこだわりを随所にみせる家となった。

アーチを抜けると、玄関前にガーデンテーブル&チェアがお出迎え。これが家族だけでなく、ちょっと訪れた方が打ち解けあっておしゃべりできる絶妙な仕掛けになっている。「この空間が日常の中で寛げる何気ない場所になればいいなと思って」とDIP佐山さん。まるでパリのアパルトマンのようにお洒落な空間で、庭を眺めながら読書やおしゃべりなど思い思いの時間を過ごすことが出来るだろう。

砂川邸の1階は、砂川さんの御両親が暮らすスペースだ。

「柔らかなカーブをつけたアールデコデザインのキッチンカウンターが、この部屋のポイントです。さらに、LDKにある壁にマゼンタ色を入れてアクセントを加えてみました。これが重量感と軽快感を同時に感じる不思議な感覚を生み出しています」と佐山さん。

2階は、スキップフロアでつなぐ約19畳ほどのLDKを始め、メインベッドルームや3人のお子さまの寝室などがある。

佐山さんによると「リビングとダイニングをスキップフロアで区切り、緩やかに居住空間とつながるとともに、フロアに段差をつけることで空間を広く見せ、プラスαの効果を生んでいます。友人を招くことが多いとおっしゃっていたので、会話が盛り上がるような開放的な空間を目指しました」とのことだ。

親世帯のリビングは、モダンかつちょっぴりクラシカルな風合いに、子世帯のリビングは洗練された空間づくりを採り入れている。それぞれの世帯で異なるライフスタイルや趣味嗜好にあった住みやすさを考え両世帯でまったく違うインテリア・空間を楽しんでいる。

このように、住宅部分は親子各世帯の機能を完全に分離した二世帯住宅になっている砂川邸。二世帯住宅といえば、寝室以外の空間を共有するスタイルが一般的……というのはすでにステレオタイプになってしまっているのかもしれない。とはいえ、家族間の関係が希薄になっている印象もない。 砂川邸は家族交流は盛んだという。

時代が多様化していく中で、たとえ家族であっても価値観は異なっている。生活時間帯のズレや習慣の違いが、不満の種になることも少なくない。しかし、二世帯同居の魅力の一つとして、子育ての先輩である親世代に助言をもらったり、子供の世話を頼みやすいというメリットがある。

家族それぞれの生活ペース、そして生活スタイルを尊重しつつ、最もプライベートな寝室は離れた位置にするなど、お互いの生活リズムを邪魔せず生活できるよう、DIP佐山さんは細心の注意をはらって設計している。

つかず離れずの距離感で暮らし、家族の絆が自然に深められる同居スタイル。それが今回DIP佐山さんが目指した理想の二世帯住宅の形だ。

  • 作品名

    Less is More・豊かな空間を持つ家

  • 所在地

    栃木県宇都宮市

  • 家族構成

    ご両親、ご夫婦、ご兄弟

  • 居住年数

    5年

  • 延床面積・間取り

    170.62u(51.66坪) LDK×2 +5部屋

  • 居住タイプ・構造

    木造2階建て

  • 価格

    家づくり相談をいただいた方限定でお教えしております

  • ご趣味

    スポーツ・ご旅行