DIP

北中庭のある平屋

取材作品

インタラクティブなクリエイションが生み出した、豊かな空間

「この家では私が以前に手がけた『kuribayashi-no-ie』が参考になっているんです。というのは、家を建てる前に『kuribayashi-no-ie』を偶然お見かけしたことがあるそうで、どんな人が建てたのだろうか気になっていたそうなんです」。

そう話すDIP佐山さんが今回手がけたのは、下野市にある平屋造り。家の設計にあたっては、奥様主導のプランニングだったという。

「せっかく気に入っていただいたので、『kuribayashi-no-ie』のような外観と同じ手法を取り入れました。もちろん、奥様はじめご家族のライフスタイルに寄り添うよう設計をおこなっています」

北中庭のある平屋は、ウッドデッキを取り入れ室内外の境界を曖昧にするデザインや、太陽光の熱を遮るために深く取られた軒先が特徴だ。リビングやキッチンを始め、要望に合わせて間取りを自在に配置し収納や動線を緻密に考えるのは設計建築ならではの醍醐味でもある。

住宅密集地にもかかわらず、リビングから気持ちのいい風が入ったり柔からな日差しが差し込んだり、絶妙な案配が光る家だ。

しかし周辺環境を考えたときに、どうしても日当たりの悪い部分が出てくるのは致し方ないこと。こちらもその例外ではなく、北側は採光や通風面では不利な条件だったそうだ。

そこで、DIP佐山さんは「住宅には明るく開放的なだけでなく暗く落ち着いた空間が必要不可欠」。そんな想いから、一般的には南に面して吹き抜けを設けるというような設計が多いなか、寝室と水周りをあえて北側に設置。なおかつそこに中庭を作るという手法を用いた。

「ちょうど、寝室での心地よい過ごし方やロケーションを考えていた時期だったんです。中庭は陽がふんだんに入るところに作ることがほとんど。北側に作ることはない。居住性を考慮しつつ、あえて北側に作ることで、水回りと寝室を明るく生かしてくれるのではと考えました。床をコンクリート張りにすることで陽の光を拡散してくれるし、ジメッとしすぎない効果が生まれました」と話すDIP佐山さん。

「提案されたプランを見て、さすがプロだと思いました」と振り返る奥様。

実は奥様の実家は、福島で造園業を営んでいる。もともと家づくりに興味があり、奥様自身も建築関連の勉強をしていたことがあって、その知識は豊富。あまりなじみのない提案だったものの、DIP佐山さんの提案をすんなりと受け入れる知識があり、家づくりはスムーズに進んだという。

“北中庭”同様に、こだわった点がもうひとつある。この家の勾配屋根だ。

南側の庭に向かって、勾配屋根が落ちてゆくような空間になっており、部屋のなかから見たときに外の景色が綺麗に見えるようになっている。

軒を深くとり南に緩やかに下る屋根は、夏は陽を遮り冬は陽が入る。いわば昔の人の知恵のおかげで自然の力を利用して、共生することを狙っているという。

またリビングの天井高に比べて、和室の天井高が低めに設定されているのも印象的だ。これは、勾配屋根の適正を生かしきるためのひと工夫。一般的には開放感があるため、「天井はなるべく高くしたい」という人は多いのだが、部屋とそれに求める役割を考慮する場合、どの空間も一律で高くすればよいという訳ではない。

「視線が低い位置にある和室では、天井高は低いほうが落ち着きを感じられるでしょう。さらに天井材を濃いめの色彩にすることで部屋全体の重心を下げ、さらなるリラックス効果も狙っています。プライバシーの観点からも有効な手段です。

また、屋根が重く見えないように、先端の屋根を斜めに切ってシャープに見せています。この作り方は大手はもちろん設計事務所でもなかなかやらない技法です。大工さんが悩みながらやっていて、とても大変そうだったのを覚えています」とDIP佐山さんは振り返る。

L型のウッドデッキの存在も、この平屋を語るうえで欠かせない。中庭を介してリビングから子ども部屋までひとつなぎになっており、お互いの空間に程よい距離感を作りつつ、視覚が外に抜けるため、実面積以上の広がりを感じられることだろう。

奥様たっての要望で作られたというこのウッドデッキ。家族の望むシーンに応じて、楽しい時間を演出してくれるに違いない。

光と風の恵みを活かした高山邸。

太陽の差し込む角度、家族との心地良い距離感……。その住み心地の良さはプロであるDIP佐山さんと、自分が心地よいものを追求していった奥様、お互いのクリエイションがあったからこそなのではないだろうか。


L型のウッドデッキの存在も、この平屋を語るうえで欠かせない。中庭を介してリビングから子ども部屋までひとつなぎになっており、お互いの空間に程よい距離感を作りつつ、視覚が外に抜けるため、実面積以上の広がりを感じられることだろう。

奥様たっての要望で作られたというこのウッドデッキ。家族の望むシーンに応じて、楽しい時間を演出してくれるに違いない。

光と風の恵みを活かした高山邸。

太陽の差し込む角度、家族との心地良い距離感……。その住み心地の良さはプロであるDIP佐山さんと、自分が心地よいものを追求していった奥様、お互いのクリエイションがあったからこそなのではないだろうか。


  • 作品名

    北中庭のある平屋

  • 所在地

    栃木県下野市

  • 家族構成

    ご夫婦、お子様2人

  • 居住年数

    10年

  • 延床面積・間取り

    187.20u(56.63坪) 3LDK

  • 居住タイプ・構造

    木造平屋建て

  • 価格

  • ご趣味

    ドライブ・食べ歩き