DIP

紫陽花坂の家

取材作品

豊かな自然と共存する生活拠点で心地よく過ごす

上戸祭町のある里山。その散策コースに続く麓の遊歩道のすぐ脇に佇むのが、Nさんの邸宅だ。梅雨の時期には紫陽花が見頃なんだとか。  

「家づくりでテーマにしたことは、素材にこだわることでした。木目調やコンクリート調といった○○調と呼ばれるイミテーション建材は使いたくなかったんです。もともと雑誌の『チルチンびと』のような空間が好きだったので、そういったイメージをDIP佐山さんにお願いしました」そう振り返るNさん夫妻。

夫婦ともに、家づくりのイメージづくりをしていく中で、好きなテイストにブレはなかったとのこと。『チルチンびと』といえば、風土に根ざした素材でつくるこれからの住まいと生き方を提唱する雑誌である。

Nさん夫婦が思い描いていたのは、豊かな自然とともに暮らすライフスタイルだ。DIP佐山さんは分譲地だった区画の最奥といった立地を生かして、内装や外装は、里山の風景に溶け込む家をイメージ。古民家のような温かみのある家屋を設計した。

里山の木々に囲まれた「紫陽花坂の家」は、まるで異空間に迷い込んでしまったかのような雰囲気を醸す。

内部は、無垢材の梁や床、大谷石を現して和を感じさせる空間を生み出し、そこにモダンな造作家具やアートのような照明をコーディネート。和室の引戸やトイレの扉はアンティークショップで古い建具を購入したり、ステンドグラスを随所にアクセントにしているのも、違和感なく溶け合っている。 Nさん夫婦の感性に触れるインテリアが広がる。

1階は日常の中心となる和室やリビングなどを配置。2階は、主寝室と子供部屋をレイアウト。リビングから望む吹き抜けや、柔らかな光を取り込む2階のトップライトにより、開放的で居心地の良いプランとなった。

施主の自然素材への深い考えに共鳴し、内装材は日本の良質な自然素材を調達。玄関には昔の農家によく見られる白洲土のタタキや漆喰壁がゲストを迎え入れる。天井を見上げると拭き漆を染み込ませた和紙が貼られ、柔らかな光沢を放っている。

なかでも和室のつくりは圧巻だ。ドアには玄関同様に漆の紙が貼られ、天井はうすく裂いた木材を編み込んだ網代天井。しかも和室の大黒柱である床柱は、皮付きの桜木というこだわりよう。空間に程よい緊張感と心地よさを堪能できる居場所を用意した。

壁はヒノキ、床には十和田石をセレクトした浴室も特等席。景色が織りなす情景を取り込み、まるで景勝地の温泉にでも来たかのような非日常を感じさせてくれる。

また、単に自然素材を利用するだけでなく、質感も見た目も異なるアイアン素材を随所に組み合わせることで、その家だけの雰囲気を表現。スタイリッシュなアイアンと、柔らかさあふれる自然素材を活かした家づくりを叶えてモダンなインテリアの印象を強めている。

そのほかにもキッチンは、他の部屋とは趣が異なるクールな印象のオールステンレス張り。今までの流れで考えれば、どこかほっとするような優しい雰囲気を台所に求めてしまうところだ。

しかし、キッチンにとっては必要不可欠な清潔感や使い勝手の良さを理由に現在のキッチンをチョイス。リビング全体に温かみのあるウッディな素材を配したおかげでバランスがとれ、ステンレスのクールさを引き立たたせている。見栄えもよく、機能が充実と、日々の料理がさらに楽しくなるだろう。

住まい全体から感じる空間の美しさは、施主のこだわりとDIP佐山さんによる緻密なデザインのたわもの。建材を自然素材にこだわると、コストが上がりがちだが、その調整にも苦労したという。

「お金をかければいいものがつくれるのは当たり前です。でも限りある予算のなかでいかに良い家をつくるか、私たちの中にあるアイデアをプラスしていくことで素敵な家をつくることを心がけています。例えば柱ひとつでもピンキリでしょう。楽しみながら工夫できるならそれに越したことはありません」とは、DIP佐山さんの弁。

愛しいものに囲まれて日常を楽しむNさん夫妻。大好きな世界観の中で、唯一無二のすてきな家族の時間が紡がれていくに違いない。

  • 作品名

    紫陽花坂の家

  • 所在地

    栃木県宇都宮市

  • 家族構成

    ご夫婦、お子様2人

  • 居住年数

    11年

  • 延床面積・間取り

    43坪

  • 居住タイプ・構造

    木造2階建て

  • 価格

  • ご趣味

    お料理・旅行