新築戸建の建築をするときに、忘れてはならないのがエクステリア・外構の整備です。
「費用はどのくらいかかるの?」「どうしたら低コストにできる?」といったお悩みをもつ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エクステリア・外構の種類や費用目安、工事費を安く抑える方法などをご紹介します。内装を考えたりインテリアが好きな人は、エクステリア・外構にもこだわりたいですよね。
デザインや素材を吟味して、外観と内装の調和がとれた住宅づくりを目指しましょう。
目次
エクステリア・外構は家の印象を決める大事な要素
まずはエクステリア・外構とは何か、どんな機能を持つのかをご説明します。
インテリアの反対の意味だからエクステリア
エクステリアは住居の外側にある構造物だけでなく、住宅の敷地内にある全ての要素をさす言葉です。住宅設計をする際に住居の内部だけでなく、外側である外観・外構も含めてデザインされた住宅が増えたことから、内部空間のインテリアの反対語として、外部空間をエクステリアと呼ぶようになりました。
外構とは、エクステリアを構成する構造物そのものをさす言葉として使用されています。
エクステリアはどこの部分か
駐車スペースや門扉、塀などの構造物以外にも道路に接している植栽やガーデニングの庭もエクステリアに入ります。
<エクステリアの主な項目>
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住宅の敷地内全て、道路や近隣との境界線までのすべてがエクステリアの範囲です。
家の顔であり、防犯やプライバシーに関わる部分でもある
エクステリア・外構は家の顔にあたります。ほとんどの人は住宅の内部空間を見ることはなく、住宅の外観を見ているからです。家を訪れた人や家の前を通る人は、外観から家の印象を決めています。できれば良い印象を与えたいものですよね。
さらに外観の印象は防犯対策としても重要なポイントです。犯罪者に対しては犯罪を起こしづらい印象を持たせる対策をしましょう。
また、生活空間のプライバシーをどう守るかも、エクステリア・外構の選び方の重要な基準といえるでしょう。
デザイン性・機能性・防犯性のバランスを大切に
エクステリア・外構を考えるとき、防犯を取るか、プライバシーを取るか、デザイン性を取るか、バランスを取るのが難しく感じるかもしれません。まずはご家族がどんな生活を送りたいか、理想の家とはなにかを話し合うことが大切です。
希望するイメージと機能性のバランスが取れているエクステリアとはどのようなものか、想像することから始めましょう。
エクステリアの項目別の大まかな費用
エクステリアにかける費用は、新築の場合ですと全体の建設費用の10%程度が一般的です。
ここでは項目別にどのくらいの費用がかかるのか、おおよその金額をご紹介します。
門やゲートまわり | 15〜40万円程度 |
玄関アプローチ | 10〜60万円程度 |
塀・フェンス | 20〜100万円程度 |
駐車スペース・カーポート | 20〜100万円程度 |
デッキ・テラス・サンルーム | 30〜50万円程度 |
庭・植栽 | 10〜100万円程度 |
照明・ライト | 10〜25万円程度 |
防犯設備(防犯カメラ) | 50〜100万円程度 |
門やゲートまわり:15〜40万円程度
門扉・門柱は、素材やデザインによって費用は変わります。素材は樹脂製・アルミ製・木製・鋳物・スチール製などがあります。門扉の種類としては片開き・両開き、内開き・外開きタイプ、鍵付きの門扉もあります。買い物の重たい荷物を運びやすくするために勝手口をつくりたいときは、防犯面から鍵付き門扉がおすすめです。駐車スペースの入り口によく設置される伸縮門扉は10〜20万程度です。
玄関アプローチ:10〜60万円程度
門扉から玄関にかけての通路を玄関アプローチと言います。コンクリートや砂利、石材を敷くなど、さまざまなデザインがあります。階段タイプやスロープタイプによっても工事費用が変わってきます。安全面・防犯面にも配慮してデザインと予算を考えましょう。
塀・フェンス:20〜100万円程度
プライバシー確保のため、防犯のために塀やフェンスを使う住宅は多く、素材・高さ・囲う長さなどで費用が変わります。
塀には主にコンクリート、タイル、レンガが使用され、デザイン性のある目隠し壁もありますが、フェンスに比べると金額は高くなります。
フェンスの素材は、主にアルミ素材・木目調・スチールメッシュなどがあり、使用する場所やデザインで選択するとよいでしょう。
塀やフェンスは防犯面で重要な装置になるので、家の中からの見え方や、外からの進入経路、死角はどこかなど、防犯対策になるようなタイプを選びましょう。
駐車スペース・カーポート:20〜100万円程度
土間コンクリート打ちだけであれば20万円程度ですが、カーポートを設置するのであれば駐車台数や素材で費用が大きく変わります。マイカーへの防犯対策を考えるならば、門扉をつけることをおすすめします。
門扉はシャッタータイプ、アコーディオンタイプ、引き戸タイプ、跳ね上げタイプなどデザインによって費用が異なるので、他のエクステリアとのバランスを見て検討してください。
デッキ・サンルーム:30〜50万円程度
デッキは家の中と外の中間の空間として、屋外でのティータイムを楽しんだり、屋根付きであれば洗濯物を干すスペースとして活用できます。デッキの費用は床の素材やサイズ、屋根があるかで費用が変わります。
サンルームはガラスの壁で囲まれたタイプが一般的で、日当たりを確保しながら雨風を防げる空間です。サンルームの費用は、広さや開閉式などのオプションによって変わります。
デッキもサンルームも暮らしを豊かにしてくれる装置です。どのようなタイプがご家族の生活にあっているかを考えて選択しましょう。
庭・植栽:10〜100万円程度
庭といっても「日本庭園」「イングリッシュガーデン」などさまざまなタイプがあり、花壇や植栽の種類によっても大きく費用が変わります。庭をつくることは、四季を楽しめたり、境界線・目隠しとなったり、木陰をつくったり、多くのメリットがあります。庭を管理することがストレス解消になる人もいるでしょう。
樹木には常緑樹・落葉樹・広葉樹・針葉樹があり、木も花も適した環境でないとうまく育ちません。エクステリアの環境にあった植栽を選ぶことが大切です。
照明・ライト:10〜25万円程度
夜間の安全・防犯面や空間演出に効果のある照明やライトも重要なアイテムです。足元が見えない、ドアの鍵穴が見えないなど、毎日の生活で起きることはささいな困り事でもストレスを感じてしまうものです。
一般的にはアッパーライトやフットライト、スポットライトがありますが、人感センサー機能やタイマー機能がついた照明を選択すれば、省エネや防犯につながります。
防犯設備(防犯カメラ):50〜100万円程度
防犯設備として考えられるものの一つに防犯カメラがあります。室外用の防犯カメラは2つのタイプがあります。
・アナログ防犯カメラ
カメラ本体は3〜10万円程度で、工事費・レコーダー・モニターを合算すると100万円前後です。
・クラウド防犯カメラ
インターネット環境が整っていればいつでもどこでもパソコン・スマホから現場の映像がみられる防犯カメラです。費用はカメラ本体(3〜10万円程度)とクラウド録画の利用料金(月々1,200〜8,000円程度※プランによって異なる)です。
エクステリアのスタイル別の費用目安
エクステリアには3種類のスタイルがあります。それぞれの特徴と費用をご紹介します。
オープン外構:50~150万円程度
オープン外構とは、道路との境界線に門や塀・フェンスなどの構造物をほとんど設置しないスタイルのことです。
特徴は3つあります。
・視界が広く開放的
敷地を囲わない開放感がある外観になり、目線の高さに何も構造物がないので、空間が広々と見えます。
・工事費用が安い
構造物を設置しないため、費用が安く済みます。ポストやインターホンなど最低限の装置だけを設置します。
・防犯面に注意する
外部から丸見えになり、プライバシー対策や防犯対策が必要です。浴室や寝室などのレイアウトを工夫し植栽などで目隠しもできますが、猫や犬なども侵入しやすいことも考慮しましょう。
クローズド外構:150~350万円程度
クローズド外構とは、門や塀・フェンスで道路や隣家との境界線を囲むスタイルのことです。庭や住宅の1階は外部からほとんど見えなくなります。
特徴は3つです。
・プライバシー確保や防犯対策ができる
敷地内に外部から侵入しにくくなり、外部からの目線も気にならなくなります。小さな子供のいるご家庭では外に飛び出す危険も少なくなり安全性も高くなります。ただし、侵入されてしまうと外部からの死角となる可能性もあるので、工夫が必要です。
・工事費用が高い
敷地の境界線をすべて囲ってしまうため、構造物の量が増え、その分費用がかかります。素材や高さなどを検討しましょう。
・閉塞感がある
住宅の敷地が狭い場合、敷地の境界線を囲ってしまうと閉塞感を感じるかもしれません。隣家との境界線がハッキリするメリットもありますが、機能性とのバランスを考えて設置しましょう。
セミクローズド外構:80~250万円程度
セミクローズド外構とは、オープン外構とクローズド外構の特徴をあわせ持った外構のことです。
例1)道路に面する駐車スペースの門扉はオープンにし、敷地を囲む木目調フェンスを高くする
例2)正面玄関は塀と門扉でクローズドにして、それ以外の囲いはメッシュフェンスにするなど、さまざまなデザインの可能性があります。
費用は採用されるデザインによって変化するので、イメージをふくらませて、最適なエクステリアを整備しましょう。
エクステリア・外構工事もしっかりこだわりたいなら
エクステリア・外構は家の顔にあたるので、できるだけステキに見せたい、個性を出したい方もいるでしょう。ここではこだわりのあるエクステリアを実現させるための方法をご紹介します。
家づくりと合わせてエクステリアのデザインも検討する
家の内装デザインと一緒にエクステリアのデザインも考えることで、全体の統一感が生まれます。住宅の内装やインテリアに対し具体的なイメージを持っているのであれば、エクステリアの雰囲気も同じスタイルにしてはどうでしょうか。
ポストや照明・ライトなどのアイテムに手を抜かず、徹底的にこだわるのがポイントです。外壁のデザインにもこだわれば、かなり個性的で雰囲気のある家になるでしょう。
プロにまかせて個性を表現
エクステリア専門業者に丸ごとお願いする方法もあります。多くのエクステリアをデザインしてきた専門業者ならではの、テクニックや技術を発揮してくれるでしょう。めざす世界観を共有しながらも細かい部分はお任せして、個性的なエクステリアに仕上げてもらうというのはいかがでしょうか。
建物の設計士がデザインすると外観に統一が出せる
家とエクステリアのデザインが一体感のある住宅は、とてもおしゃれに見えます。新築の場合、住宅とエクステリアを建築士が一緒にデザインすることで、一体感のある空間が生まれます。ハウスメーカーや建築設計事務所に住宅全体のデザインをお願いすることで、デザイン性の強い家ができあがるでしょう。
また、住宅部分と合わせて建築費用を算出してもらうことで、予算内での最適な提案が期待できます。
機能性・防犯対策も重要
デザインやこだわりばかりを気にして機能性や防犯性・安全性を重視しないでいると、問題が起きてから後悔してしまいます。オシャレで誰からも褒められる外観もステキですが、ご家族が安心して住める家であることの方が大切です。
例えば、毎日使う玄関アプローチや駐車スペースには安全で使い勝手のよいものを選ぶことで、思ってもみない怪我や事故を未然に防げます。機能性、防犯性、安全性、デザイン、こだわりのバランスが取れたエクステリアを実現しましょう。
エクステリア・外構工事を安く抑えたいなら
建築費用の10%程度の費用がかかると言われるエクステリア・外構工事。予算の都合上、費用をできるだけ抑えたい方もいらっしゃるでしょう。ここからは工事費用を安くする方法をご紹介します。
DIYできるところは自分で
DIYで自分でできるところを作るという選択があります。ホームセンターにはさまざまなDIYの道具やアイテムが売っているので、思い切って挑戦するのもよいでしょう。
- 玄関アプローチに砂利をひく
- 庭に芝を貼る
- 花壇にレンガを積む
- DIY上級者ならウッドデッキを制作
などを、ご家族で作業してみるのも貴重な思い出づくりになることでしょう。
複数の業者から見積もりを取る
費用の比較をするために複数の業者から見積もりを取るのも、費用を安くするコツです。
構造物の費用を左右するのは、ほとんどが素材選びやエクステリアの環境です。素材を選択する基準は業者によって異なるため、1社での見積もりからは相場がわかりません。工事費用が割高だったとしても気づけない可能性もあります。
見積もりを取ることで相場を把握し、お願いする業者に費用の相談をするのもよいでしょう。
工事を細かくわける
エクステリアの工事内容は、門・フェンス・庭づくり・植栽選びなどの項目ごとの工事が合わさっており、それぞれの項目に相場があります。業者によっては「外構工事一式」という見積もりを出す場合もあるので、できるだけ詳細を把握するようにしましょう。費用の相場を知ることで、どこにお金をかけた方がいいのか知識を得られるので、構造物の選択をするときの判断基準になるでしょう。
ポイントを絞る
費用をかけるこだわりポイントを1つか2つに絞り、それ以外は最低価格のものを選ぶという方法もあります。1点でもこだわりを貫くことで、理想に近づけたエクステリアを実現できます。いっそのこと初期工事は最低限の部分だけに絞り、住みながら数年をかけてエクステリアを完成させていくという方法もあるでしょう。
ただし、1回で完了する工事よりも費用が高くついてしまいます。こだわりや機能面での妥協をしないで納得するものが作れるメリットもあります。
希望のコンセプトと予算に合わせた住まいづくり
ここまでの内容は、
- エクステリア・外構とは家の顔である
- 項目別の費用目安
- スタイル別の費用目安
- エクステリア
- 外構にこだわる方法
- 費用を安く抑える方法
をご紹介しました。
ほとんどの人が一生に一度の大きな出費をする家づくりですから、いろいろな思いを反映させたくなり、あれもこれもと夢がどんどん膨らんでいきがちです。現実は費用のやりくりで納得がいかないことも多いでしょう。
重要なのは、これから数十年暮らす家が、快適で、使い勝手がよくて、居心地のいい家であることです。どこに予算をかけるかはご家庭によってさまざまです。しっかり話し合ってコンセプトを明確にし、どこにポイントを絞るかを決めると、予算の配分が決まってくるでしょう。
エクステリアを含めた住宅全体のデザインと費用のバランスを考え、理想の家づくりを実現してください。