家づくりに欠かせない敷地調査と地盤調査をわかりやすく解説

家を建てる

新しく家を建てる際は、敷地面積に合わせて設計図を作る必要があります。また、法律に則って建物の大きさを決めなければなりません。そこで重要になるのが、敷地調査です。敷地調査では土地の面積を調べたり、法規制を確認したりします。これから注文住宅を建てる方は、敷地調査の項目を把握しておくとよいでしょう。本記事では、敷地調査の項目や内容を説明します。また、地盤調査に関しても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

敷地の現状を調べる敷地調査

敷地調査とは、測量を行い敷地にかかる法規制や地盤の強度を調べる調査です。住まいを建てる際は、不動産登記法・建築基準法・都市計画法の3つの法律が関わっています。法律によって規制されている主な項目は、地目・用途地域・建ぺい率・容積面積・斜線制限・接道義務です。これらを調査して、住宅が建てられる土地かどうかを確認します。また、土地に対して建てられる建物の面積や高さはどのくらいかを調べます。敷地調査は家を建てるための調査であるため、測量した敷地図を不動産登記や売買に使うことはできません。

なぜ敷地調査が必要なのか?

敷地調査では、測量した敷地面積と登記簿上の面積が一致するかを確認します。昔の測量技術では、正確な面積が測れていない場合があります。そのため、登記簿上の面積が正確ではない可能性があり、新たな敷地調査が必要になるのです。また、法に則って住宅を建てるために、法的観点から土地に家が建てられるかを確認する必要があります。

敷地調査はどのようなことをするのか?

住まいを建てる際に欠かせない敷地調査ですが、実際にはどのようなことをするのでしょうか?敷地調査で確認する項目はいくつかあります。これから住まいを建てる方は、敷地調査の内容を把握しておくとよいでしょう。ここでは敷地調査の内容を説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

敷地の形と面積を調べる

敷地調査では、敷地の正確な形と面積を測定します。また、隣地との高低差を確認したり、境界杭の有無を確認したりします。隣地との境界線がわからない場合は、正確な敷地調査が行えません。そのため、所有者の立会いのもと、境界線を明らかにする必要があります。隣接する土地の所有者を知っておくと、境界に塀を作るときや工事車両を停めるときにも話し合いがしやすいです。さらに、敷地調査では電気・ガス・上下水道の配管の有無も確認します。電気やガスが通っていない場合は、引き込み工事が必要です。

敷地に面した道路を調べる

敷地の形や面積だけでなく、接している道路も調査の対象です。道路の調査では、道路の幅や高低差を測り、側溝の種類やマンホール・ガードレール・電柱の位置を確認します。また、都市計画区域内の住宅は、4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。道路が4mに満たない場合は、セットバックと呼ばれる敷地を後退させなければならない規則があります。

方位を測定する

方位の測定は、部屋の間取りを決めるために必要です。方角を正しく把握することで、日当たりや風通しを考慮した設計が可能になります。また、家相など吉凶を踏まえて家を建てる場合は、正確な方位を測る必要があります。

隣家の窓や換気扇の位置を確認する

窓の位置を決めるために、隣家の窓や換気扇の位置を確認します。新しく建てる住宅の窓を隣家の窓と離れた位置に作ると、お互いが窓を開けやすくなるでしょう。隣家の窓から室内が見えてしまうと、窓を開けにくくなります。また、換気扇の近くに窓を設置すると、排出された空気が室内に入ってきてしまうので注意しましょう。

法規制を確認する

法規制を調べて、用途地域を確かめます。用途地域は都市計画法に基づいて設定されたもので、敷地に建てられる建物の種類のことです。用途の種類は全部で13種類あり、住居系の用途地域は8つです。住宅系の用途地域では、住民が快適な暮らしを送れるように住環境が保護されています。その他には商業系と工業系があり、商業施設や工場の建設が推進されています。

建ぺい率と容積率の制限も調査が必要です。建ぺい率とは、敷地に対して建てられる建物面積の割合のことです。建ぺい率が低いほど、空地の面積は大きくなります。容積率とは、敷地面積と延べ面積の割合のことです。容積率が高いほど、建てられる床面積は大きくなります。さらに、斜線制限と呼ばれる建物の高さや大きさを制限する規制もあります。これは、地域の風通しや採光を守るための規制です。

敷地調査と合わせて重要な地盤調査

敷地調査と同じように大切なのが、土地の強度を測る地盤調査です。ここでは、地盤調査の種類や特徴を説明します。住まいを建てる際は、敷地調査と合わせて把握しておくとよいでしょう。

地盤調査とは?

地盤調査は、地盤がどのくらいの重さに耐えられるかと、沈下に抵抗する力があるかを調べる調査です。重さに耐えられない地盤に建物を建ててしまうと、建物が沈下したり傾いたりする危険性があります。耐震性の高い建物を建てる際は、施工前に構造計算を行います。構造計算は地盤調査の結果をもとにしているため、ここでも調査結果が必要です。

また、調査で沈下の恐れが発覚した土地は、地盤改良しなければなりません。地盤改良工事の費用は150万円ほどが目安といわれており、業者が地盤に合った工法を選んで施工します。具体的には、土を掘って固化剤を入れる方法や、コンクリートの柱を打ち込む方法があります

地盤調査は、建替えの際にも行いましょう。建替えだからといって地盤が安定しているとは限らず、調査結果によっては地盤改良を行う必要があります。地盤が弱い土地に建物を建ててしまうと大変危険なため、地盤の状態はしっかりと確認しておきましょう。

主な調査方法は3種類

地盤調査は主に3種類あります。それぞれ調査方法や費用が異なるので、違いを見ていきましょう。

スウェーデン式サウンディング試験

住宅を建てる際の地盤調査で一般的に用いられているのが、スウェーデン式サウンディング試験です。この調査方法では、おもりをつけたロッドを回転させて、回転数やおもりの重量を測定します。費用は比較的安く、5万円程度が相場です。一戸建ての場合は、中央と四隅を測定して地盤の強さを判断します。注意点は、広い敷地を調査すると正確性が低くなることです。調査にかかる期間は、早くて半日~1日程度です。

ボーリング試験

ボーリング試験は、ボーリング機械で穴を掘った場所にハンマーを落として強度を測る試験です。先ほど紹介したスウェーデン式サウンディング試験と異なり、土質まで調査できます。費用は20~30万円程度と高めで、マンションなど規模の大きい建物を建てる際に用いられています。調査に使う機械は規模が大きめで、やぐらを組むスペースの確保が必要です。調査にかかる期間は、1日~数日程度です。

平板載荷試験

平板載荷試験は地盤に平板を置き、建物の重量と同程度の荷重を掛けて地盤の強さを測る試験です。比較的短い時間で測定可能で、騒音や振動が出にくい特徴があります。費用は10万円程度で、ボーリング試験に比べると安価です。ただし、深い位置の地盤を調査できないデメリットもあります。

敷地調査と地盤調査で土地の状態を確認しましょう

敷地調査の内容や地盤調査の種類を紹介しました。敷地調査では、敷地面積や接している道路を調査し、建てられる建物の大きさを調べます。また、隣家の窓や換気扇の位置を確認することで、双方が快適に暮らせる住まいを設計します。日当たりや風通しの良い住まいを作るには、方角を把握して間取りを決めることが大切です。敷地調査の結果をもとに、快適な住まいを設計しましょう。さらに、敷地調査と同様に重要なのが地盤調査です。地盤調査では、専用の機械を用いて地盤の強度を測ります。調査の結果によっては、地盤改良が必要になります。住まいを建てる際は、敷地調査と合わせて地盤調査も忘れずに行いましょう。

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