ツーバイフォー(2×4)工法とは?メリット・デメリットと在来工法との違いについて

お役立ち情報

マイホームを検討するにあたって、木造・鉄骨造・RC造等の工法の選定は重要な要素のひとつです。住宅で最も多く採用されている工法は「木造」であり、木造のなかでも「ツーバイフォー(2×4)工法」は耐震性・耐火性・気密性など、非常に優れた性能を持つ工法です。今回はその「ツーバイフォー(2×4)工法」の特徴と、メリット・デメリットについて解説していきます。

ツーバイフォー(2×4)工法とは?

 木造建築の工法「木造枠組壁工法」のひとつ

「ツーバイフォー(2×4)工法」は木造建築の工法の名称で「木造枠組壁工法」のひとつです。「枠組壁工法」とは、木材で作った枠に合板を貼り合わせた壁面パネルの組み合わせで成り立つ工法です。一般的な木造工法が「柱」と「梁」で建物を支えるのに対して、ツーバイフォー工法は「壁」で箱をつくり建物を支える工法と言えまツーバイフォー

北米生まれの工法

「ツーバイフォー(2×4)工法」はアメリカで1800年代に開発された工法で、現在の北米の住宅のおよそ90%はこの工法で建てられています。熟練工でなくても施工が可能で、かつ特別な資材や施工機材を必要としない工法で、開拓民が自力で住宅を試行錯誤で建てながら発展させてきた歴史があります。その出自から、日本においては欧米風の輸入住宅、特にカントリーテイストの住宅に多く採用されています。

「ツーバイフォー(2×4)」の名称の由来

 その名称の由来は、使用する木材のサイズにあります。壁を作る枠材は2インチ×4インチの規格であり、現在市場に流通している寸法は38mm×89mmとなります。同じ規格の材料を大量に使用することにより生産が合理化され、コストの削減と工期の短縮が可能になります。

ツーバイフォー(2×4)工法と在来工法の違い

在来工法とは

「在来工法」とは伝統的な木造日本家屋の工法で、「木造軸組工法」とも言います。「軸組」とは「柱」のことで、屋根や床の重さを「梁」を介して「柱」に伝え、風や地震による横揺れに対しては「筋違(すじかい)」で抵抗します。国内で建設される住宅のおよそ半数は「在来木造」で建てられており、最も普及している工法と言えます。

従来工法※ 林野庁HPより抜粋

在来木造の柱のサイズ

在来木造は柱のサイズにより「柱3.5寸仕様」「柱4寸仕様」などと分類されます。1寸≒30mmの計算で3.5寸=105mm、4寸=120mmが実際の流通規格になります。現在一般的に採用されている仕様は3.5寸柱となりますが、4寸柱のほうが断面積が大きく構造強度も高くなるため、積雪地など4寸柱が標準の地域もあります。当然、その分使用する木材量が増えるためコストも上がります。

施工方法

 伝統的工法であるため、施工職人のボリューム層が最も多い工法です。柱や梁の接合部を特殊な木組み(ホゾ・継ぎ)で接合するため、従来は熟練の職人技術を必要としましたが、ここ30年程で急速に加工の機械化(プレカット)が進み、熟練工でなくとも建設が可能になっています。

設計の自由度

柱と梁の線状の材料で成り立つ工法のため、一定量の筋違(すじかい)が入っていれば開口が取りやすく、設計の自由度は高いと言えます。柱の間崩れや斜め壁など、変形した間取りにも対応が可能です。伝統的日本家屋に見られる、縁側を介して庭と一体化した外部とつながった間取りは、在来木造ならではこそ、実現可能な間取りです。

気密性能

住宅の「気密性能」とは、室内の密閉度のことです。壁や床に隙間があったり、通気性のある資材を使うと気密性能は下がり、外気温の影響を受けやすくなります。建築物は工場生産品をそのまま運ぶのではなく、現地で個々のパーツを職人が組み合わせて作るため、設計仕様や施工技術により気密性能が大きく変わってきます。

在来木造は、先述のように、柱や梁といった線状の構造に対して別個に壁を作っていく工法のため、設計や施工方法の十分な知識と施工配慮が無いと隙間ができやすく、気密性能が確保できないケースもあります。

着工から引き渡しまでの工期

構造の部材数と工数が多いため、工期は比較的長く掛かります。30~40坪の標準的な大きさの住宅で、注文住宅の場合は着工から引き渡しまで4~5ヵ月程度の工期が一般的です。

ツーバイフォー(2×4)工法のメリット・デメリット

倒壊リスクの軽減・高い耐久性

 「ツーバイフォー(2×4)工法」は、「軸組」ではなく「壁」で箱状の構造体をつくっていく工法のため、非常に強固な工法です。地震で激しい揺れにさらされても倒壊リスクが少なく、阪神淡路大震災(1995)、新潟県中越地震(2004)といった震度7クラスの大震災でも全壊はゼロだったと言われています。

東日本大震災(2011)でも、津波の影響を除けば、修理を加えなくともそのまま居住が可能であった家屋は98%に達したとの調査結果が出ています。(「一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会」調べ)

在来工法より気密性能が高い

 「ツーバイフォー(2×4)工法」は箱状の構造で、壁・天井・床の6面全てが構造用合板を打ち付けたパネルで構成されています。構造用合板は木材の薄いスライスを接着剤で貼り合わせたもので、非常に耐久性が高く透湿性が低い特徴があります。在来木造と違って構成要素がシンプルなため、施工品質によるバラつきも少なく、気密性能に非常に優れた工法です。

耐火性が高く安心・火災保険料が安くなる

「ツーバイフォー(2×4)工法」等の壁パネル方式で建てられた住宅は「省令準耐火構造」あるいは「45分準耐火構造」の認定を受けていることが多いです。在来木造でこれらの耐火構造認定を取得しようとすると、多くの追加部材と施工手間が掛かるため大幅なコストアップとなりますが、ツーバイフォー工法の場合はもともとの構造の堅牢性(火災で燃焼しても避難までの一定時間建物が崩壊しない)や気密性能(隙間が少なく火が回りにくい)のおかげで、耐火構造認定までのハードルが低くなります。
火災保険料は建物の耐火性能により金額が変わります。一般木造よりも保険料を低く抑えられる可能性がありますので、ツーバイフォー住宅の検討時には耐火性能をハウスメーカーや工務店に良く確認するようにしましょう。

デメリット

 ツーバイフォー工法のデメリットとしては、「間取りの自由度の低さ」が挙げられます。壁パネルで箱状のかたちを組み合わせて作る工法のため、変形した間取りには対応しづらくなります。各部屋が平面的に長方形である必要があり、あまり大きな空間は作れません。目安としては最大で30~40㎡(18~24帖)ですが、各種の補強梁を加えることにより、それを超える大空間を可能とした発展的工法も開発されています。また、構造強度を確保するために各壁パネルの開口制限も出てきます。在来木造の縁側のような大開口を取ることが難しく、どちらかと言うと閉鎖的な印象を与える外観となりやすいです。考え方によっては、プライバシーを重視した重厚な家が出来上がると捉えることも出来ます。

 もうひとつのデメリットとしては、「リノベーションのしにくさ」です。外装や部屋の内装の変更、設備の入れ替え等の「リフォーム」であれば問題ありませんが、間取りや規模の変更を伴う「リノベーション」となると、もともと堅牢に出来上がっている箱状の構造を壊してつくり変えることになり、構造強度を落とさないための工夫や対策が必須となります。ツーバイフォー工法に関して十分な経験と知識を持つハウスメーカーや工務店に依頼することが重要です。

ツーバイフォー(2×4)工法で建てる場合の住宅価格の目安

建築コストを抑えやすい工法

ツーバイフォー工法は、同サイズの規格木材を大量に使用することにより生産を合理化し、コスト削減工期短縮を追及して北米で生まれた工法です。ある程度出来上がった工場生産のパネル材を現地で短期間で組み立てるため、在来木造と比較して現場での手間が大幅に圧縮出来ます。建設工事の多くを占めるのが現地での作業工賃ですので、その点で他の木造住宅より建築コストを抑えることが可能です。大手のアパートメーカーがツーバイフォー工法を採用することが多いことからも、そのコスト優位性が伺えます。

坪単価の目安

 施工会社および設計仕様により大きく左右されますが、各工法の目安となる坪単価を下記に挙げます。

  ・木造(ツーバイフォー工法) 50~70万円

  ・木造(在来木造)      60~80万円

  ・鉄骨造(軽量鉄骨)     70~90万円

  ・鉄骨造(重量鉄骨)     80~100万円

  ・RC造(鉄筋コンクリート)   90万円~

 ただし、これらの目安は「本体工事金額」であり、建物そのものの金額です。敷地条件により大きく金額が変わる「地盤改良(杭)工事」「外部給排水工事」「仮設工事」などは別途として概算金額を提示する会社もありますので、見積に含まれる内容を良くチェックし、疑問点は細かく営業担当に確認しましょう。

相見積りでの比較

 建築工事の見積は1社だけでなく、複数社で比較するようにしましょう。住宅は自動車と違い、各社が唯一無二の商品を提供している訳ではありません。設計図次第でほぼ同条件・同仕様の建物を作ることができます。

設計事務所に依頼する場合は、同じ図面で複数社による入札が可能となりますが、ハウスメーカーや工務店に設計施工一括で依頼するケースが圧倒的に多いと思われます。各社の設計提案は腕の見せ所ではありますが、ある程度方向性が決まったら自分たちの希望を定め、良い所取りしたプランに各社を着地させていきましょう。出来る限り同じ土俵に乗せた上で、金額をシビアに比較検討するのが賢いやり方と言えます。

ツーバイフォー(2×4)工法で理想の家を実現しましょう

 ツーバイフォー(2×4)工法は建物構造としての耐震性能・耐火性能に優れ、気密・防音の居住性能にも優れた素晴らしい工法です。かつ、合理化を追求した工法であるため値段以上の価値があると言えます。様々なメリットがあるツーバイフォー(2×4)工法を採用し、理想のマイホームを実現しましょう。

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