天然素材で再注目のリノリウム!特徴やメリット、貼り方を解説

お役立ち情報

天然素材の床材として注目を浴びている「リノリウム」を聞いたことはあるでしょうか?

リノリウムは人と環境にやさしい素材であるため、多くの施設の床材として取り入れられています。近年では住宅の床材としても採用されてきたため、本記事で詳しく解説します。

メリット・デメリットも紹介し施工時の注意点も紹介するため、これから住宅の建築を検討している方は是非参考にしてください。

リノリウムとは?

リノリウムとは病院や学校、バレエスタジオや舞台ステージなどで使われる天然素材の床材で、近年では住宅にも用いられるようになりました。

元々は1860年にイギリス人で100件以上の特許を取得したフレデリック・エドワード・ウォルトン(Frederick Edward Walton)によって発明され、世界各国で使用されることになりました。

日本には1920年に東リ株式会社が取り入れて全国でも認知されていくようになりましたが、価格が高額という点から需要が少なく、戦後の建築ラッシュではほとんど使われることはありませんでした。

しかし、リノリウムは天然素材でできているため、人体と環境に優しいとされてます。近年はシックハウス症候群やエコロジーブームにより、環境を考慮した素材の使用頻度が増えてきたことから再度注目を浴びています。

海外ではリノリウムを使った建物が多く、今後日本でも普及されていくでしょう。

リノリウムの素材とは

リノリウムは以下の6つの素材からできています。全て天然素材なところが何よりの魅力であり、環境に優しい点が好まれるポイントです。

どのような素材からできているか、一つ一つ説明します。

アマニ油

アマニ油は亜麻という花から油だけを採取して酸化させます。これがリノリウムの主原料となります。酸化させることで、抗菌・抗ウイルスなどの効果が生まれる一方、独特の香りを出します。

近年では美容効果や動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・高血圧などの予防効果もあることから調味料としても利用されてます。

石灰石

石灰石はセメントや有機合成の原料に利用されている炭酸カルシウムです。住宅では石膏ボードとして使われる反面、アマニ油との相性も良く、密度が高く安定したリノリウムも作ることが可能です。

松脂

松脂とはアカマツやクロマツと言ったマツ科の植物から取れる樹液であり、「ロジン」とも言われてます。鮮やかな琥珀色の天然樹脂であすが、アマニ油と混ぜることでリノリウムの強度と柔軟性を高めます。

木粉

木粉をアマニ油に混ぜることで、落ち着いた色合いと表面の滑らかさを維持できます。また、紫外線による色あせを多少防ぐ効果もあります。

天然色素

リノリウムを美しい色合いにするためには天然色素は欠かせません。重金属を一切含まないピグメント(顔料)をアマニ油と混ぜ合わせ、リノリウムを作ります。

植物繊維

植物繊維にはさまざまな種類と用途があるものの、植物繊維のなかでもジュート繊維をリノリウムに用います。ジュート繊維は安定した性質を持ち、繊維を繋げてくれる役割があります。

リノリウムのメリット・デメリット

住宅にも取り入れられ始めたリノリウムですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。またメリットだけでなくデメリットもあるため、ここで紹介します。

リノリウムのメリット

リノリウムのメリットは4つ挙げられます。

環境を汚染しない

リノリウムは6つの原料からできていますが、全て天然素材であるため環境汚染をしない魅力があります。さらに建物を解体して処分する際も有毒ガスの発生がせず、再利用も可能です。2050年にCo2の排出0を目標としているカーボンニュートラルの実現にピッタリの素材とも言えるでしょう。

抗菌作用が高い

リノリウムの主原料である亜麻仁油はウイルスや菌に対して抗菌作用があります。そのため病院や介護施設などに使用されています。

アンモニアの脱臭効果もあるため、トイレとの相性も良いです。

掃除が簡単

リノリウムの表面はなめらかであるため、簡単に掃除ができるメリットがあります。表面に凹凸もなく、ビニール材のような床材であるため、雑巾一つで掃除できます。

またハウスダストやほこりなどを貯めこみにくい建材であることから、喘息餅屋アレルギー体質の方には優しい床材となってます。

耐久性・耐火性が高い

住宅の床材の代表例は、複合フローリングやクッションフロア、塩ビタイルなどが主流です。3つの床材は、10年から15年で傷みが出てくるためメンテナンスや張替えが必要です。

しかしリノリウムは30年から40年と耐久性が高いため、メンテナンス回数も少ないメリットがあります。更に荷重にも強い特徴があり、ソファーや冷蔵庫を置いても凹みにくいです。また耐火性も高いため、住宅火災の発生率は低くなる特徴もあります。

リノリウムのデメリット

実用性が高いリノリウムですが、デメリットもあります。

ここでは4つのデメリットを紹介します。

コストが高い

クッションフロアと塩ビタイル比較しても、リノリウムはコストが高いです。

リノリウムの製造には手間と時間がかかるため、取扱いしている建材メーカーも多くないことが理由として挙げられます。さらに施工できる業者も少ないため、住宅を建築する際はハウスメーカーに確認する必要があります。

人にとっては苦手なにおい

リノリウムは体へ被害はないものの、多少臭いがあり、人によっては嫌がる方もいます。家に来客があった時に、リノリウムの臭いから不快に思う方もいるかもしれません。

年数が経つことで臭いは消えていきますが、新築時はこまめに換気する必要があります。

アルカリ性に弱い

床材のツヤを出したいがゆえにワックスをかけたいと思う方もいらっしゃるでしょう。しかしアルカリ性との相性は悪く、変色する可能性も高いです。耐久性が高いものの、メンテナンスを行う際は専門業者に委託する必要があります。

日当たりに弱い

リノリウムは紫外線に弱く変色してしまいます。そのため住宅のリビングなどの日当たりが良い場所には不向きです。対策方法は後ほど紹介しますが、施工できる場所に限りがあるデメリットがあります。

リノリウムを貼り付ける際の注意点

リノリウムを施工をする場合は、取り付け場所やメンテナンスに注意する必要があります。

ここでは2つの注意点を紹介します。

紫外線対策を行う

先ほどのデメリットでも紹介した通り、リノリウム日当たりに弱いため、紫外線対策は必須です。

対策方法は以下の3つです。

  1. 紫外線に強い窓を取り入れる
  2. UVカットフィルム・UVカットコーティングを行う
  3. UVカット率の高いカーテン、ブラインドをつける

紫外線に強い窓を取り入れる

リノリウムの紫外線対策で最も効果的な方法はUVカット効果が見込める窓の採用です。

通常の窓ではなく、Low-E複層ガラスなら紫外線を約80%、特殊な中間膜をはさみ込んだ防犯合わせ複層ガラスは紫外線をほとんど遮断することが可能です。もちろん紫外線の強さによって異なるため一概には言えませんが、リノリウムを設置する場合は導入を検討した方が良いでしょう。ただし、通常の窓より価格は高額となるため予算を踏まえて取り入れるか考慮しましょう。

UVカットフィルム・UVカットコーティングを行う

紫外線の強い窓ガラスは価格が高いため、予算が足りないという方はUVカットフィルムやコーティングでも効果が見込めます。もちろん複層ガラスより紫外線カット効果は見込めませんが、十分対策にはなります。

UVカット率の高いカーテン、ブラインドをつける

近年ではUVカット率の高いカーテンやブラインドも多数あります。住宅にカーテンは必需品であるため、購入する場合は紫外線対策ができる物を購入しましょう。ただしカーテンを開けている最中はUVカット効果はありませんのでUVカットフィルムなどと合わせて使うようにしましょう。

メンテナンスは中性タイプを使用する

リノリウムはアルカリ性に弱い旨を先ほど紹介しました。アルカリ性ではリノリウムが変色を起こし、見栄えが悪くなります。そのため、洗剤を使って掃除する際やワックスがけをする場合は中性洗剤を薄めて使用することをおすすめします。

リノリウムに貼り替える場合の費用相場

リノリウムの貼り換え費用は1㎡あたり4,000円〜5,500円です。なお、既存の床材の上に張る場合は1,000円〜2,000円です。別途下地の補修や養生、工賃などを含めた施工費用が10万円〜20万円前後かかります。

下記の表は部屋の大きさ別のリノリウム貼り換え費用の早見表です。

業者によって価格は異なるため、目安としておきましょう。

部屋の大きさ 既存の床材から張る場合 貼り換えの場合
リビング 20㎡(12帖) 120,000円~240,000円 180,000円~310,000円
23㎡(14帖) 123,000円~246,000円 192,000円~326,500円
26㎡(16帖) 126,000円~252,000円 204,000円~343,000円
30㎡(18帖) 130,000円~260,000円 220,000円~365,000円
33㎡(20帖) 133,000円~266,000円 232,000円~381,500円
洋室 10㎡(6帖) 110,000円~220,000円 140,000円~255,000円
13㎡(8帖) 113,000円~226,000円 152,000円~271,500円
16㎡(10帖) 116,000円~232,000円 164,000円~288,000円

リノリウムとクッションフロアの違い

クッションフロアの貼り換え費用相場は1㎡あたり2,300円前後です。

リノリウムの認知がされ始めてきたものの、未だにクッションフロアが住宅では定番です。

クッションフロアは塩化ビニル樹脂でできており、滑りにくく、消臭効果も期待できます。さらに水に強く、トイレや洗面所などの水回りの床材として使われています。

価格もリノリウムより安いため、多くのハウスメーカーが採用している床材です。またリノリウムよりバリエーションが豊富なため、自宅のデザインに合わせることも可能です。

しかし、リノリウムと比べて耐久性が低いです。重い家具を置いた場合は凹みが発生するでしょう。またクッションフロアのデザインにもよりますが、見た目はリノリウムの方が高価に見えます。

リノリウムと塩ビタイルの違い

塩ビタイルの貼り換え費用相場は1㎡あたり3,600円前後です。

ポリ塩化ビニルで造られた塩ビタイルは耐久性の高さから店舗などで使われることが多いですが、近年ではデザイン性の高さから住宅の床材としても利用されてます。

塩ビタイルは大理石調や御影石など高級感あるデザインのものが多く、住宅の見栄えをより引き立てることにもつながる素材です。

しかし、塩ビタイルは一枚一枚のタイルを張り付けていくため、隙間が生じてしまうデメリットがあります。リノリウムは大きさ合わせてにカットできますが、塩ビタイルは隙間に汚れが溜まってしまうため、定期的な目地の清掃が必要となります。清掃しないまま放置すると、場合によっては湿気が溜まり、カビや腐食の原因となり、人体にも影響を及ぼすことにもなりかねません。

より衛生面を意識したい場合はリノリウムの方がおすすめです。

リノリウムの張替えは専門業者に依頼する

リノリウムの張替えは専門業者に依頼することをおすすめします。

費用を考慮した時、DIYの方が安価に納めることが可能ですが、張替えを間違えると床に膨らみが生じたりする可能性もあります。

さらに下地の確認と張替えも必要となる可能性が高いため、専門的な技術が求められる作業です。素人の方には難しい作業ですので、専門業者などのプロに依頼しましょう。

人と地球にやさしく快適なリノリウム

今回住宅の床材として注目を浴び始めたリノリウムに着目してご紹介してきました。エコロジーが重視される中でリノリウムは人体に及ぼす影響も少なく、耐久性・耐火性にも優れていることから今後需要はますます高まるでしょう。

ただし紫外線に弱い特徴があるため、施工する場合はUVカット対策をした窓の施工も必要です。

クッションフロアや塩ビタイルなどの人気は根強く、リノリウムの方が価格は高額であり、窓からの紫外線補強をした場合はさらに費用が高くなります。

そのため、リノリウムを取り入れる際は、一度専門業者に見積もり依頼をしてから検討しましょう。

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